日本でも入手可能? 中国製ワクチン流入[闇ルート]を追う

「中国製ワクチンの効果は、もっときちんと検証されるべき」

 一方、中国製ワクチンの有効性については信頼できるデータがなく、欧米製に比べ効果が低いと囁かれている。最低でブラジルの50%、最高でトルコの91%とかなり開きがあるからだ。 「有効性50%というのは100人が接種したうち、50人に効かなかったという意味ではなく、ワクチンを接種した群体と偽薬を投与した群体の発症率を比較することで得られる数字。  中国製ワクチンの効果は、もっときちんと検証されるべきで、もったいないと思います」(久住氏)  一方、中国政府のワクチン政策に関して富坂氏はこう述べる。 「マスコミで報じられているような『ワクチンで提供国の首根っこを摑む』といった“ワクチン外交”を中国はしたいだけではない。  WHOのワクチン共同購入の枠組みに提供し国際協調の姿勢を見せていることからも、純粋に多くの国に提供して国際社会での地位向上を狙っているのでしょう」  日本政府は現在、中国製ワクチンの導入を考えていない。しかし、イメージ向上を狙って、中国政府は今後日本の医師向けに正規の輸出窓口をつくることも考えられる。  思惑はさておき、安全性と合法性が担保されれば、中国製ワクチンの接種は日本でも広がるのかもしれない。

すでに接種が開始されたワクチン

<アメリカ> ▼ファイザー 独ビオンテック社と共同開発された、mRNAワクチン。有効性は95%。−70℃での管理が必要とされる。 提供国 EU、中国、日本、韓国、サウジアラビアなど世界45か国以上 ▼モデルナ 米国立アレルギー・感染症研究所との共同開発。mRNAワクチンだが、保存の温度条件や有効性でファイザーに勝る 提供国 日本、EU、カナダ、スイス、イスラエル、イギリスなど <中国> ▼シノファーム 中国製薬大手傘下のCNBGが開発。従来型の不活化ワクチンで、同社は79%の有効性が確認されたと発表 提供国 チリ、アルゼンチン、パキスタン、エジプト、モロッコなど ▼シノバック 鳥インフルワクチンなどで実績のある中国製薬大手による不活化ワクチン。年間3億回分を供給予定 提供国 ブラジル、トルコ、パキスタン、インドネシア、ネパールなど <イギリス> ▼アストラゼネカ 英政府が開発費の一部を拠出しており、同社は利益度外視の価格で提供するとしている。日本でも治験が開始された 提供国 スイス、ブラジル、インドなど <ロシア> ▼ガマレヤ 国立ガマレヤ研究所が開発した組み換えタンパク質ワクチン。昨年末の段階ですでに20万人が接種したという 提供国 ブラジル、イギリス、韓国、ボリビアなど ※新聞報道などを基に編集部が作成 <取材・文/奥窪優木 広瀬大介>
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