現金給付をしなければ失業率は上がり続け、景気は回復しない
「現金給付は1回だけでは足りません」と語る「日本経済復活の会」小野盛司会長
しかし、日本政府は小野氏の提言に耳を貸さず、緊縮財政を止めなかった。その結果日本の経済力はどんどん衰えていった。世界3位といわれる日本のGDPだが、人口1人当たりのGDPでみると、世界25位にまで転落している。
内閣府による名目GDP予測は、常に外れてきた(井上智洋・小野盛司『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』より)
内閣府が繰り返してきたGDPの予測を見れば、いかに日本が間違った経済政策を進んできたのかがよくわかる。具体的な政策も行わないまま、常に「GDPが年3%上昇する」という希望的観測を発表して、毎回予測を外してきたのだ。小野会長は「今こそ、経済政策の間違いによって“失われた30年”を軌道修正する時だ」と語る。
「現金給付をしなければ失業率は上がり続け、景気はいつまでたっても回復しません。現金給付をすれば、今まで売る機会を失っていた商品やサービスが求めている人の所にしっかり届き、社会が息を吹き返します。『生活のため、やむをえず働く』というのではなく、より楽しんで働くようになれるのです」(小野会長)
個人への継続的な現金給付によって、コロナ禍というピンチをチャンスに変えることができるかもしれない。1月18日から始まる国会に、現金給付を求める多くの国民の声は届くだろうか。
【小野盛司●おの せいじ】「日本経済復活の会」会長、日本ベーシックインカム学会理事。著書に『政府貨幣発行で日本経済が甦る』、『これでいける日本経済復活論』、『ロボット・ウィズ・アス』、『日本はここまで貧乏になった』、『お金がなければ刷りなさい』(いずれもナビ出版)、
『「資本主義」から「解放主義へ」』(創英社/三省堂書店)など。1月21日に
『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(扶桑社)を井上智洋・駒澤大学准教授との共著で上梓。
<文/増山麗奈(映画監督・日本ベーシックインカム学会理事)>