菅総理「国民皆保険」発言は珍しく原稿を見ずに言っていた!? 5分間の質疑を信号無視話法分析
物議を醸した1月13日の総理記者会見
本記事では、この神保記者と菅義偉総理の5分間にわたった質疑をピックアップして、一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
3名の記者の質問に対する菅総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●菅総理:赤信号91% 灰色9%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
実に9割以上が赤信号であり、まったく質問に回答できていない。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
〈*記事中の動画リンクが表示されない配信先で読んでいる場合、動画は筆者のyoutubeチャンネル「赤黄青で国会ウォッチ」で視聴できます〉
菅総理が動揺した神保記者の質問
司会者(山田真貴子 内閣広報官):『「それでは、恐縮ですが、次の日程ございますので、あと1問とさせて頂きます。では、内閣記者会以外の方で、日本ビデオニュース株式会社の神保さん。』
ビデオニュース 神保哲生記者:『ありがとうございます。えー、ビデオニュースの神保です。あのー、総理、今日、会見を伺っているとですね、基本的に、まあ、国民に、まあ、あのー、色々協力を求めるというお話をずっとされてきましたが、もう一つ我々が是非知りたいのではですね、その間いったい政府は何をやってきたのかなと。国民に協力を求めてるのは、もちろん必要なんでしょうけども、じゃあ政府は何をやってたのかということをですね、知りたい国民が多いと思います。そこで、あの、先ほどですね、ちょっと医療崩壊についての質問があったので、えー、ぜひ伺いたいんですけども、先ほど、まあ、あのー、「日本は日本の独自の医療の仕組みがあるから、違うから」というお答えだけでしたけどもね、日本は、あのー、病床数は世界で、人口あたりの病床数が世界一多い国ですよね。で、今、感染者数はアメリカの100分の1くらいですよね。それで医療が逼迫していて、緊急事態を迎えているっていう状況の総理の説明がですね、単に「医療の体制が違うんです」っていうので、果たして良いのでしょうか。つまり、体制をつくっているのは政治なんじゃないかと。政治が法制度を変えれば、変えられるじゃないですか。
そこで、質問です。もうすぐ国会始まります。例えば医療法によって、いま政府は病院の病床の転換というのは病院任せにするしかない。お願いするしかない状況になってますけども、例えば医療法の改正というのは、あの、ただ単に「システムが違います」じゃなくて、えー、今の政府の中のアジェンダに入ってないんでしょうか。それから、同じくですね、感染症法の改正。これもコロナがですね、当初あんまり、どういう病気か分かんない段階で、2類相当にしてしまった。なので非常に軽症者や無症状者でも、非常に、あのー、厳重に扱わなきゃいけなくなっている。それも、医療に非常に大きな負担になっている。それをですね、それも法制度を変えれば、えー、随分変わってくると思うんですが、そういうことがむしろ政府の仕事ではないのかと。なので、国民に対して、まあ、その、いろいろ犠牲をお願いすると同時に、政府側がこういうことをするって話が、ずーっと待ってて、あのー、総理から出てくるのを待ってたんですけど、なかなか出てこないので、是非そこをですね、特に国会が始まりますので法制度の部分でその2つの法律。えー、今国会で、あのー、えー、改正されるおつもりがあるのかも含めて、あのー、お願いします。』
この質問で触れている前の質疑について補足すると、神保記者の3人前にあたる、5人目のブルームバーグ記者は「米国よりも感染者数が少ないにもかかわらず、医療崩壊が指摘されている日本の医療体制に問題があると考えているか」と質問していた。この質問に対する菅総理の回答は「医療提供体制は国によって違う」「体系が異なるので比べることは難しい」という雑なものであった。この回答に対して神保記者はそもそも体制をつくるのは政治の役割であることを説きながら、医療法改正による病床数の改善、感染症法改正による現場負担軽減に向けて、今国会での法改正について問い質している。
この質問は事前通告されていなかったため、総理自身が回答を考える必要があったためか、問題となった国民皆保険の見直しに関する発言がこの後に唐突に出てくることになる。
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