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イルハン・オマル
‘18年に
ムスリム女性、そして
ソマリア難民として初めて選出されたのは
イルハン・オマル議員だ。
「
(アメリカが)嫌なら出て行けばいい」と
トランプ前大統領に攻撃を受けるなど、反ムスリム的なヘイトを受け続けている彼女だが、
親イスラエル的なアメリカ政府の姿勢に楔を打つ存在として注目を浴びている。(参照:
FOREIGN POLICY、
THE NEW YORK TIMES)
『
フォーリン・ポリシー』が「
サウジアラビアがアメリカのムスリム女性議員に宣戦布告」と紹介したように、その発言や行動はアメリカ国内だけでなく、
中東諸国にも強い影響力を持っている。
同記事では「湾岸アラブの君主たちが、ワシントン最新の歴史的な政治家を非難するため、
レイシズム、
偏見、そして
フェイクニュースを用いる」という見出しもついているほどだ。
進歩的かつ歯に衣着せぬ発言で知られるオマル議員(そして、そのほかのムスリム系議員)に対しては、「反サウジアラビア、反アラブ首長国連邦的な組織に所属している」というフェイクニュースが拡散されるなど、
発言力を増すムスリム系議員の代表であるいっぽうで、矢面に立たされることも増えている。
また、先述のトランプ大統領からの非難については、『
ニューヨーク・タイムズ』が次のようなコメントを紹介している。
「私はとても不平等な社会で育ちました。合衆国に来ることで唯一家族が興奮したのは、
合衆国は誰に対しても正義を保証している国であるはずだということです。私は、
その約束が守られていないことについて、話す必要があると感じています」
国内外から批判を浴びつつも、平等や正義について恐れずに声をあげるオマル議員は、アメリカ政界、そして世界を変えていくはずだ。
近日公開予定の後編では、今回紹介したジャマール・ボウマン議員、イルハン・オマル議員と同じく、AOCと肩を並べたプログレッシブ議員たちに迫る。
<取材・文・訳/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン