山梨県中央市の桑畑で展開している、対リニア計画への立ち木トラスト。オーナーの札かけをしているのが原告団の川村団長。今回の中間判決で原告から外された
そして、2020年12月1日11時に判決が言い渡された。原告から外されたのは①と③の計533名。
①については全員が外された。その理由は、判決文にはこう書かれている。
「各個人が乗客になる可能性はあくまで潜在的かつ抽象的なものにとどまる」
③には、山梨県中央市の桑畑に展開する立ち木トラストのオーナーで、裁判の原告になっている人は296名もいるが、全員が除外された。また、神奈川県相模原市鳥屋で建設予定のリニア車両基地予定地にある地元住民の土地に、借地権を設定してトラスト運動を展開する11名も除外された。
判決文を要約すると、
「立ち木トラストや土地トラストの所有権は、直ちに制限が加えられるわけではない。訴えは土地収用の段階ですべきだが、土地収用法による土地収用も必ずしも行われるものではない」ということだ。
これには、実際に土地トラストで借地権を設定している原告の一人は「え~、私が外れるの」と驚いていた。つまり、③で原告適格者とされたのは土地所有者だけだったのだ。
②については、判断が分かれた。原告団の天野捷一事務局長は神奈川県川崎市民だが、「川崎市の原告89名は全員が認められた」とほっとしていた。
「川崎市は、リニアが大深度(概ね地下40m以深)を通過するので、非常口周辺とそこからの残土運搬などの工事車両の通行を除けば、地上での被害は発生しません。
でも、川崎市の水源は、リニアが通過する相模原市にある4つのダム湖(相模湖、津久井湖、丹沢湖、宮ケ瀬湖)と周辺河川です。裁判所は、リニア工事がこれら水源の水質や水量に影響を与える可能性があるとして、川崎市の原告を適格者としたんです」(天野事務局長)
中間判決の結果に抗議する原告たち。急いで集計したための計算違いで「7割」が「5割」になっている
具体的に書けば、以下の地域に住む原告が原告適格と認定された。
⑴水源の水を飲料水、生活水、農業用水として利用している地域
⑵リニア走行ルートから800m以内の地域
⑶工事関係機械による騒音・振動に関し、リニア関連施設(非常口、駅、保守基地など)から200m以内の地域
⑷工事関係機械による大気汚染に関し、施設から120m以内の地域
⑸地盤沈下に関し、トンネルから100m以内の地域
⑹日照阻害に関し、施設から110m以内の地域
これが「原告適格者」250名だ。