圧倒的不利な状況を覆すには“思い込む”力が必要――エビソル社長・田中宏彰氏に聞く
⇒【前編】「9:1を覆すモチベーション」はこちら
http://hbol.jp/23561 これまで飲食店のWeb化が進まなかった背景には、店舗のネット環境の未整備やIT導入への心理的抵抗感があった。それが「9対1」の要因となっていたが、それらは徐々に変わりつつあると田中氏は語る。 「今は飛躍的にネットやその利用環境が進化して、若い世代はスマホやタブレットの操作に慣れているからアルバイトスタッフでも対応できる。また、外国の方から電話が来ても対応できない飲食店も多いですが、今後、東京オリンピックに向けてリアルタイムかつ多言語対応というインフラが必ず必要になります。そこからさらに発展させて、メイドインジャパンのサービス+インフラでグローバル展開ができればと思っています。 2020年までに3万店舗を目指しています。でなければインフラにはなれないと思っているので意外と時間がありません。ただ、大手グルメサイトの掲載店舗が約5万店なので、そのくらいのニーズが市場にはあると想定できます。だから、不可能な数字ではないと考えています。3万店舗になれば、今度はコンシューマーに向けて “リアルタイム&席在”が効率的にアクセスできるような、利便性の高いサービスも充実するようになると思います」 田中氏は「9対1を覆す、0から1にする過程がたまらなく面白い。また、そう思えるのが私たちの強みです」と語る。 「9対1を覆す」ことを成功させる秘訣のようなものはあるのだろうか。 「個人的には、論理的にも情緒的にも“思い込める”かどうかだと思っています。東京オリンピックで1000万人の外国人旅行者が日本に来た時、お店の予約はどうするのか、誰がどうやって解決するのかを考えたとき、我々がやらなくても必ず誰かがやる。だとしたら、いち早く目をつけて準備している我々に一日の長があったと言えるような状態をイメージしながらやる。そこだけは社員にも絶対に疑わせてはいけません」 反面、思い込みだけでビジネスを始めた人が陥りやすいワナも説く。 「9対1のような圧倒的不利な状況にある事業は探せばまだまだたくさんあると思いますが、ビジネス規模としては小さい分野も少なくない。何で今までなかったんだろうと人が驚くような、大きなニーズが満たされていない骨太なビジネスでなければ、起業の努力が報われません。例えば今日、スマホが普及したことで、その周辺事業は立ち上げやすくなっていて優秀な人材も多い。ただ、いきなり起業する場合、アイディアだけが先走って、どうやってビジネスとして成立させるのか考えずに始めてしまうことも少なくありません」 その点では、三井物産という大組織の仕事の仕方や、企業カラーの異なる学生援護会のМ&Aなどを、身を持って体験したことは、田中氏の大きな財産となっている。 「システム開発から事業企画や営業まで、一気通貫して考えられる企業に優秀な人が集まるようにしないと、宝の持ち腐れになってしまう。私はファミコン世代ですが、生まれたときからプレステがある世代ですから、デジタルリテラシーの発射台が違います。知識と情報を身に付ければ、非常に戦力になる。そういう人たちが当社に参加してくれるとますます楽しみなので、若い人材を絶賛募集中です(笑)。ある意味、そのマッチングをどうできるようにしていくかも大きなビジネスチャンスになるかもしれませんね」 <取材・文/杉山大樹 撮影/菊竹規> たなかひろあき●獨協大外国語卒。1996年インテリジェンス入社、2005年執行役員。2011年10月株式会社エビソルを設立。
PCやスマホのおかげで、例えば旅行に行くとき飛行機や新幹線、あるいは宿泊先のホテルをWebで予約することは珍しいことではなくなった。ところが、レストランなどの飲食店に予約を入れるときは電話でという人は多いのではないだろうか。飲食店に関しては『食べログ』のような口コミサイトや『Hotpepper』のようなクーポンサイトは広く浸透しているものの、旅行業界のように一括して予約が可能なサイトがほぼ不在といっていい。このため、飲食店予約においては電話とWebの比率は9対1となっているという。
「9対1を覆す」――。
そんな状況をかつて覆し、再び新たな分野でその難題にチャレンジしているエビソル代表取締役社長、田中宏彰氏に話を聞いた。
http://hbol.jp/23561 これまで飲食店のWeb化が進まなかった背景には、店舗のネット環境の未整備やIT導入への心理的抵抗感があった。それが「9対1」の要因となっていたが、それらは徐々に変わりつつあると田中氏は語る。 「今は飛躍的にネットやその利用環境が進化して、若い世代はスマホやタブレットの操作に慣れているからアルバイトスタッフでも対応できる。また、外国の方から電話が来ても対応できない飲食店も多いですが、今後、東京オリンピックに向けてリアルタイムかつ多言語対応というインフラが必ず必要になります。そこからさらに発展させて、メイドインジャパンのサービス+インフラでグローバル展開ができればと思っています。 2020年までに3万店舗を目指しています。でなければインフラにはなれないと思っているので意外と時間がありません。ただ、大手グルメサイトの掲載店舗が約5万店なので、そのくらいのニーズが市場にはあると想定できます。だから、不可能な数字ではないと考えています。3万店舗になれば、今度はコンシューマーに向けて “リアルタイム&席在”が効率的にアクセスできるような、利便性の高いサービスも充実するようになると思います」 田中氏は「9対1を覆す、0から1にする過程がたまらなく面白い。また、そう思えるのが私たちの強みです」と語る。 「9対1を覆す」ことを成功させる秘訣のようなものはあるのだろうか。 「個人的には、論理的にも情緒的にも“思い込める”かどうかだと思っています。東京オリンピックで1000万人の外国人旅行者が日本に来た時、お店の予約はどうするのか、誰がどうやって解決するのかを考えたとき、我々がやらなくても必ず誰かがやる。だとしたら、いち早く目をつけて準備している我々に一日の長があったと言えるような状態をイメージしながらやる。そこだけは社員にも絶対に疑わせてはいけません」 反面、思い込みだけでビジネスを始めた人が陥りやすいワナも説く。 「9対1のような圧倒的不利な状況にある事業は探せばまだまだたくさんあると思いますが、ビジネス規模としては小さい分野も少なくない。何で今までなかったんだろうと人が驚くような、大きなニーズが満たされていない骨太なビジネスでなければ、起業の努力が報われません。例えば今日、スマホが普及したことで、その周辺事業は立ち上げやすくなっていて優秀な人材も多い。ただ、いきなり起業する場合、アイディアだけが先走って、どうやってビジネスとして成立させるのか考えずに始めてしまうことも少なくありません」 その点では、三井物産という大組織の仕事の仕方や、企業カラーの異なる学生援護会のМ&Aなどを、身を持って体験したことは、田中氏の大きな財産となっている。 「システム開発から事業企画や営業まで、一気通貫して考えられる企業に優秀な人が集まるようにしないと、宝の持ち腐れになってしまう。私はファミコン世代ですが、生まれたときからプレステがある世代ですから、デジタルリテラシーの発射台が違います。知識と情報を身に付ければ、非常に戦力になる。そういう人たちが当社に参加してくれるとますます楽しみなので、若い人材を絶賛募集中です(笑)。ある意味、そのマッチングをどうできるようにしていくかも大きなビジネスチャンスになるかもしれませんね」 <取材・文/杉山大樹 撮影/菊竹規> たなかひろあき●獨協大外国語卒。1996年インテリジェンス入社、2005年執行役員。2011年10月株式会社エビソルを設立。
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