スペインで「スペイン語」が公用語でなくなった!? 日本人が知らない、スペイン語圏の2020年の話題を振り返る

人が来られなくなった「観光立国」の悲劇

9.スペインの外国からの観光客の激減を象徴するバルセロナのラ・ランブラ通り  ラ・ランブラ通りは年間で延べおよそ1億人から1億2000万人が訪れる世界を代表する観光名所のひとつ。今年はコロナ禍で例年の25%程度して訪問客がないという。その影響を受けてこの通りに面したバル・レストラン・土産物店などが軒並み閉店している。その数はおよそ800軒。この通りで働いている1万人の雇用の今後の行方が懸念されている。この通りに面して花屋は17軒あるが、その内の7軒は廃業を余儀なくさせられたそうだ。  1992年のバルセロナオリンピックからガウディーの作品をアピールして世界で注目される都市となったバルセロナであるが、コロナから回復した時点でガウディの作品を中心としたアピールだけでは滞在費も他の都市に比べ割高になって観光客を呼び戻すことは難しいという意見もある。  実際、バルセロナに続くスペイン第3の都市バレンシアがコロナ禍の前まで急激に観光客が増加していた。 10.日産がスペインから撤退を決めた  今年5月、バルセロナにある日産のスペイン工場が今年いっぱいで閉鎖することが決定された。40年近く続いた工場であったが、日産のルノーとの関係から絡む国際戦略、英国がEUから離脱することで英国にある日産工場により比重を置くことになった。4-5年前から撤退の噂があった。当初20万台が生産可能な設備を持っていた工場が今年はその10分の1の生産しかしていない。その影響から従業員も徐々に削減されて、閉鎖が決まった時は3000人の従業員に加え、関連企業400社、凡そ2万人の雇用が喪失されることになった。  2021年、ワクチン接種なども始まったが、まだ先行きは不透明なままだ。果たして今年、観光立国としてのスペインはどこまで立ち直れるのか?  <文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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