スペイン・バレンシアの街並み。コロナ以前であればこの広場はオープンエアのテーブルで飲食を楽しむ外国人観光客でごった返していたが、誰もいない(撮影/筆者)
「新型コロナウイルス」という感染症によって、大きく生活が変わってしまったヨーロッパ。特に、筆者が住むスペインは、その被害も甚大で、2021年を迎えた今もなお、いまだ回復の見込みは見えてこないままだ。
今回は、日本語や英語圏では話題になりにくい、2020年にスペインやラテンアメリカで起きた話題を振り返ってみたい。
1.スペインでの新型コロナ感染
クリスマスイブの時点でもまだ一日のスペインでのコロナ感染者は1万人近くを記録している。これまでの累計死者数は5万人。その中で一番多く死者を出したのはマドリード州の1万1700人。
ところが、実際の死者の数はそれよりも多いとみられており、最低でも1万2000人多いとされている。というのも、3月から5月のまだコロナパンデミックに取り組む体制が出来ていなかった期間に特に老人ホームの高齢者が死亡したことに集中しているからだ。
公式にコロナによる感染で死亡したと認定されるにはPCRテストを実施したというのが条件となっている。3月から5月の期間は老人ホームでのPCRテストは殆ど実施されていなかった。またそれをできる体制にもなっていなかった。老人ホームで高齢者の死者の多さの前に部屋で死亡した状態のままで数日間放置されたままであったという場合さえあったほどだったのだ。
2.コロナ感染の影響でスペイン経済はガタガタ
3月から6月までスペインは完全封鎖を実施してコロナ感染に取り組んだ。住民が外出できるのは食料品の買い出し、薬局やキオスクに行くだけに限られた。居住している地区以外の場所に勤務する場合はそれを証明するものが必要とされた。
それ以後も今日まで地域ごとの封鎖が実施されている。それでも感染者の数は衰えない状態が続いている。
これがEU全域で発生していることから、観光立国であるスペインには外国からの観光客の訪問が昨年比83%の激減。その影響で経済の後退は余儀なくさせられ、今年のGDPはおよそ11%の後退が予測されている。これほどまでの後退はスペインの内戦時まで遡らねばならない。特に、観光事業に関係した旅行代理店、飲食店、ホテルなどはその20%が廃業または倒産を余儀なくさせられるのが見込まれている。
3.ディエゴ・アルマンド・マラドナの急死
マラドナはアルゼンチンの英雄でありまた神様であった。彼はグランドで名プレーをして4500万人のアルゼンチン人に幸せを与えていた。現大統領のアルベルト・フェルナンデスもその幸せをもらっていたひとりだった。マラドナは自らの名声を常に意識していたようで、その重圧に耐え続け行くことに精神的疲れを感じてコカインの常用者になってしまった。
マラドナはどのチームでもキャプテンになる役目を持って生まれたようで、弱小チームナポリでプレーをするようになった時もリーダーとしてチームを引っ張り、退部する時は神様と称されるようになっていた。
だから、ナポリではマラドナが亡くなったという訃報の前に11月27日の午後8時45分にナポリの市民は住んでいる家のバルコニーから一斉に拍手を送って彼への感謝を表現した。
また、アルゼンチンではマラドナへの感謝と彼の死を悼むために国中で100万人以上の市民が市街を行進した。大統領官邸内に安置された彼の棺の前に弔問した人の数は予想を遥かに超えて予定を3時間延長せねばならなかったという。その中にはそれに間に合うように1000キロを車で走行した人もいた。(参照:「
El Periodico」〉