「死んだら辞められますかね」……。生活困窮者をさらに追い詰める「企業のブラック化」が止まらない

犯罪か自死か……失業者を襲う絶望とは

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写真/PIXTA

 ブラック化する職場に苛まれる人がいる一方で、冒頭で触れたように失職して困窮する人も急増している。労働問題に詳しい作家の雨宮処凛氏はこう語る。 「厚労省の発表によると、コロナによる解雇や雇い止めは12月前半だけで1202人増加。特筆すべきはアルバイトなどの非正規労働者が約6割に当たる702人を占めている現実です。  これは、労働局やハローワークに寄せられた相談を基に集計したものなので、まだまだ氷山の一角。現在、非正規雇用労働者は就業者全体の4割に上り、収入も低い。そうした人々が真っ先にクビを切られて追い討ちをかけられています。不安定な社会構造がコロナで一気に顕在化しました」  とりわけ女性の非正規労働者が窮地に立たされている。総務省が10月に発表した労働力調査によると、前年同月比85万人減の非正規労働者のうち、53万人が女性だ。 「そもそも非正規労働者は女性が多いうえに、アパレルやネイルサロン、ヨガインストラクターなど、女性就労率が高い職種の業績が軒並み悪化したことで、職を失う女性が急増しています。  シェアハウスに住む女性が増え、通常の賃貸と比べて追い出されやすいという背景もあってか、20~30代の女性がホームレスになるというケースまで存在します。私は長年、貧困問題に取り組んできましたが、このような事態はほとんど経験したことがありません」

「最悪の選択をしてしまう前に、どうか生活保護の申請を」

 生活に困窮し、犯罪か自死かまで追い詰められてしまう人も増えている。 「コロナによる困窮の果てと思われる事件があちこちで起き、10月の自殺者数はとうとう2000人を超えました。最悪の選択をしてしまう前に、どうか生活保護の申請をしていただきたい。申請すれば、生活費や家賃が出ます。家がない人であれば、交渉次第でアパートが見つかるまでホテルの滞在費が出ます。私たち支援団体の者が同行すれば、より安心なので、まずは相談してください。  また、東京都では12月21日から約1か月間、一日1000室のホテルが提供される予定です。さらに、江戸川区などでは年末年始に臨時で役所を開きます。政府や自治体、各支援団体が行う施策を目いっぱい活用してほしい」
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11月の自殺者数は1798人。そのうち、男性は前年同月比83人増の1169人。女性は前年同月比99人増の629人に。10月の完全失業者数も4か月連続で増加しており、’17年5月以来の高水準となった

 最後に雨宮氏はこう提言する。 「国は『前年比で5割以下』などという基準ではなく、『1人世帯で/3人世帯で収入がこの額以下だったら即給付』という形での給付を即刻進めるべきです。一種のパニック状態に陥った人々を救うためには、セーフティネットを強化し、安心感を与えることに尽きると思います」  寒い冬を乗り越えるべく、一刻も早い対応が求められている。
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生活困窮者を救う現代の「駆け込み寺」
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