審査厳格化で借りられない人が増加……。税制改正で激変する住宅ローン最新事情

メリットもデメリットもある今回の改正案

 現状、控除は13年続くため、累積するとかなり大きな差となる。税制改正が正式に決まれば、多くの利用者にとって悪影響は避けられないが、今後について関根氏は「ローン商品のあり方自体が変わってくるはず」と見通しを明かす。 「改正前と比較するとうまみは減ってしまいますが、それでもローン控除が利用者にとって有利な制度であることは変わりません。改正により金利に上乗せするタイプの団体信用生命保険(団信)を選択する人が増えてきそうです。金融機関も生命保険の保証を手厚くしつつ、1%近い金利になるよう調整する積極的な動きが出ると思います。  また、ローンの事務手数料や保証料として借入総額の2%程度の一時金を払っていますが、『金利0.2%分の上乗せにして一時金不要』とする商品も今後は人気を集めるはず。最初の10年間は金利が高いけど、11年目以降は金利が下がるステップダウン金利のローン商品も今後は開発されていく可能性が高いでしょう」

’21年度は買い時?

 メリットもデメリットもある今回の改正案だが、現行のローン控除が継続され、かつ床面積の要件が緩和される’21年度は買い時というのが関根氏の見解だ。 「制度変更を見据えてお金を貸す側の金融機関もさまざまな対応をしてくると思うので、しっかりとリサーチし、賢く利用しましょう。ただし、そもそも家というものは『控除があるから』買うのではなく、あくまで家族やライフプランに応じて買うものです。後悔のない住宅選びをしてください」  コロナ禍で今後の住宅事情も不透明ななか、頼みの綱となる住宅ローン。状況を注視しながら上手に活用していきたい。 【不動産コンサルタント・長嶋 修氏】 さくら事務所会長。ホームインスペクションの普及に尽力し、不動産関連の有識者として数多くのメディアで活躍を続ける。著書や講演実績も多数。 【住宅ファイナンシャルプランナー・関根克直氏】 住宅に特化したサービスを提供して16年の実績を持つ。投資用ワンルームに関する相談も受け付ける。YouTubeチャンネル「住宅FP関根」も人気を集める。 <取材・文/栗林 篤>
1
2
3