①副業で申告所得を減らしている
副業に関わる経費を合算し、申告所得を大きく減らすことは節税目的では有効だが、ローン審査ではマイナスになるケースが多い。たとえ副業が実質的に黒字化していても住宅ローンを組む際にはほぼ考慮されないと覚悟する必要がある。
②投資用不動産のローン残債がある
近年、会社員でも参入している人が多い不動産投資だが、すでに借り入れがある場合は住宅ローンの与信枠をそのまま喰いつぶしてしまう。’20年4月の制度改正により、打撃を受け、ライフプランを大きく狂わせる兼業大家が多数発生した。
③カーローンなどの借り入れがある
マイカーのローン購入やスマートフォンの分割払いなどをしている人も要注意。少額の場合、借り入れ自体が問題になるケースは少ないが、返済に滞りがあるとただちに信用情報が傷つき、新たな住宅ローン審査の際には悪影響を及ぼす。
住宅ローン控除の対象基準が広がる一方で、今回の大綱では“改悪”とも取れる変更もある。住宅ローンの控除額が「年末時点のローン残高の1%か、その年に支払った利息の総額の“少ないほう”」となる見込みで、’21年では持ち越されたが、’22年には控除のルールが変わることになりそうだ。
「住宅ローン控除はもともと金利が5%近くある頃に始まった制度で、当時はここまで低金利になるとは予想してなかった。今は控除率の1%よりもローン金利のほうが低い逆ザヤ状態なので、『補助金をもらいながらローンを返している』ようなもの。ただし、『改正の見込み』と報じられていますが、住宅業界からは強い存続の要望があるのでまだ実現するのが決まったわけではありません」(同)
それでは改正後は返済のキャッシュフローにどの程度の影響が予想されるのか。「現在は超低金利時代で利息負担が少ないため、多くの方にとって控除額が減りそうです」と指摘するのはファイナンシャルプランナーの関根克直氏だ。
「例えば、年始に4000万円の住宅ローンを返済期間35年、金利0.5%で借り、年末のローン残高は約3900万円になった場合、借入残高の1%にあたる39万円が所得税と住民税から控除されます。しかし、同じ借り入れ条件で試算すると、月の利息は1万6600円で1年間の支払利息は19万7000円。少ないほうが適用される改正後は39万円ではなく19万7000円となり、控除額が20万円弱は減ります」
年始に4000万円の住宅ローンを返済期間35年、金利0.5%で借りた場合の初年度の控除額を算出。1年で見ても半分近くまで減少する。税制改正は正式決定していないものの、物件購入にはかなりの時間がかかるため、検討している場合は早めに動きたい