「エントリーの基本は
トレンドフォロー。
①調整を狙って押し目を買う・戻りを売る、②高値ブレイクで買う・安値ブレイクで売る、です。①の調整狙いではどこまで押すか、戻すかが課題ですが、その目安に使うのがEMA。上昇トレンドに対する調整が浅く終われば10EMA程度で下げ止まるし、深ければ30EMAまで行くこともある。30EMAを超えない範囲で押してから反転上昇して陽線が出れば、買いでエントリーです」
戻り売りの場合も考え方は同じ。それを実践したのが11月に取引した豪ドル/円だった。
「日足では3本のEMAが下向きのパーフェクトオーダーを形成していました。明確な下落トレンドですが、いったん上向いて10EMAまで戻ってきた。調整の場面ですが、焦って売る必要はありません。10EMAで反転して陰線が出たのを確認してから、売りです」
下落方向のパーフェクトオーダーが成立するなかで戻りを形成したローソクがEMAにタッチし、直前の足の安値を割り込んできたタイミングで売りエントリーして120pips稼いだ
調整が入ったものの再び陰線が出れば、「やっぱり下落トレンドが継続か」と買い手は損切りするし、新たな売り手も出てきて勢いがつきやすい。エントリーしたらすぐに含み益となる、マゼラン氏の理想とするトレードだ。
「このときもすぐに急落し、120pips抜くことができました」
ただ、今年の株式市場がそうであるように目立った押し目をつくらずに上昇するトレンドもある。
「強いトレンドが出ているようなら調整を待たずに高値ブレイクでエントリーします。今年の日経平均では2万4000円が強い抵抗線となっていました。米大統領選という大きなイベントを通過後、日経平均が2万4000円をブレイクしたのを確認し、日経平均CFDを買いでエントリーしました」
マゼラン流「トレンドの加速」に乗るトレードパターン。調整らしい調整を挟まず上昇する日経平均に対して、マゼラン氏は29年ぶりの高値更新後の高値圏で買いエントリーした
決済はどう考えたのか。
「トレード開始直後のストップはエントリーした足の安値を割ったところ。そこまで下がれば『ブレイク失敗』です。このときは上がってくれたので半分を1350円幅で決済し、残り半分は建値に損切り注文を移動しリスクをゼロにした上で、まだ保有しています」
失敗だと思えばサクッと切って次のチャンスを探すし、勢いのある相場では「半分決済」を多用して利益を伸ばす。
「一回一回の勝ち負けは気にしません。私のやり方を継続すれば長期的に利益になることはわかっている。1ポジションにこだわらず、次の機会を探すだけです」
シンプルかつ数日程度のスウィングトレードが中心の手法は兼業投資家にもマネしやすい。相場の荒波を乗りこなすならマゼラン氏の舵取りに身を委ねてみては。
【FXトレーダー マゼラン氏】
’03年に投資を始め昨年から専業投資家に。取引戦略を公開するTradingView(Magellan_EXP)ではトップ投稿者として活躍。ツイッターは
@ExpMagellan
<取材・文/高城 泰(ミドルマン) 図版/ミューズグラフィック チャート提供/
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