第二波の時も両者は激突。7月11日に菅官房長官(当時)がコロナ感染拡大は「東京問題」と名指しをすると、すぐに小池知事は「(GoToキャンペーンで)冷房と暖房の両方をかけることにどう対応すればいいのか」と反撃した。
医療関係者からは
「東京と一体の生活圏で感染者が急増している埼玉・千葉・神奈川各県なども最低限、対象外にすべきだ」(7月17日の『東京新聞』)という指摘が出ていたのに、結局、菅首相の選挙区(神奈川2区)を含む神奈川などは除外されず、東京発着だけが9月末まで除外されてしまったのだ(筆者の著書『仮面―-虚飾の女帝・小池百合子』で紹介)。
この遺恨を忘れない小池知事が「GoToキャンペーン開始時も国は東京だけを狙い撃ちにするように除外したのだから、今回も政府の判断で勝手に東京除外をしてください」と突き放したくなっても不思議ではない。
恨み骨髄の菅首相への当てつけ(嫌がらせ)だろうか。
両者の不仲で対応が遅れて被害を受けるのは国民のほうだ。東京発着のGoToトラベルを継続すれば、都内での感染拡大と同時に、全国に感染を広げる恐れもあるからだ。
11月20日の会見でGoToキャンペーン中断を訴えた東京都医師会の尾崎治夫会長
第三波の今回も、早期のGoToキャンペーン中断(東京除外)を求める声は、医療関係者からも出ていた。東京都医師会の尾崎治夫会長もその一人。11月20日の緊急会見で、コロナ感染者数の推移のグラフに「10月1日GoToトラベルキャンペーン東京都追加」と付記した矢印を記入したフリップを手に、次のような解説をしていたのだ。
「10月1日から東京の『GoToキャンペーン』が始まりました。これは私の目の錯覚かどうかはわかりませんが、この2週間後ぐらいからどうも感染が全国的にも増えているような気が私はいたしております」
東京除外解除の後、若干のタイムラグを経て全国的な感染拡大が始まった右肩上がりのグラフを見れば、東京発着のGoToトラベル解禁が第三波の引き金になった可能性が十分にあることはすぐに分かる。
しかし菅首相も小池知事も東京除外を即断即決せず、尾崎会長会見から1週間以上も責任のなすり合い、意地の張り合いを続けた。国民の命を危険にさらす“亡国コンビ”と呼ばれても仕方がないだろう。