反NHKになんのメリットもない個別訪問見直しを誇る立花代表
立花孝志は、NHKの受信料問題をめぐり、前田晃伸会長が個別訪問を抜本的に見直すことを検討すると発言したことは自分たちの手柄だと主張しているが、そもそもNHKは国民全員から有無を言わさずに受信料を徴収する仕組みを模索している。
現在のシステムでは「テレビなどの受信設備を持っていなければ受信料を支払う必要はない」ということになっている。最近はサブスクリプションで映画やドラマを楽しめるし、YouTubeなど無料で楽しめるWEB配信が充実しており、わざわざテレビを持つ必要はないと考える若者も少なくない。都心で暮らせば車は要らず、カーナビでテレビが見られると指摘されることもない。いざとなったら格安レンタカーやカーシェアリングで十分だ。昨今のスマホにはテレビチューナーがついておらず、こうした環境で暮らしている人たちにNHKの受信料は無縁である。
これからどんどん受信料収入がなくなるかもしれない時に、わざわざテレビが設置されていないかどうかを確認するために個別訪問をするのはあまりに効率が悪い。ましてや、新型コロナウイルスのせいで個別訪問ができなくなると、契約率が下がり、減収につながってしまう。いよいよ見直すべきタイミングが来たというわけである。
しかし、このニュースは本来、NHKから国民を守る党を支持してきたような、本当はテレビを持っているのにゴネることで受信料の支払いを免れてきた人たちにとって、「解決」でもなければ「朗報」でもない。
訪問スタッフに頼ることなく受信料を得るということは、契約の義務化がより強化されるということである。先日も未契約者に割増金を課すことも検討されていたが、ケーブルテレビ利用料との一括支払いなど既に行われている方法を拡大するとともに、新たな営業のやり方を検討するというが、これは受信料を大幅に安くしたり、あるいは、支払わなくて良くするという方向とは真逆のベクトルである。
にもかかわらず、早くも「解決した」と言い出し、党名を「民主党」に変更すると言い出した立花孝志。残念ながら、
「民主党」という名前は、港区議になったマック赤坂氏が既に届け出ているほか、複数存在するという。改めて「民主党」という名前をつけられるのかどうかは、
総務省の中でもコンセンサスが必要で、まだ結論が出ていない。
「ペンディング党」になったと思ってしまった副党首の大橋昌信のツイート
なお、「民主党はペンディングになった」という動画を見て、
「ペンディング党」になったと思ってしまった副党首の大橋昌信に、立花孝志は「
NHKから国民を守る自民党」という名称に変更するプランも明かしている。「民主党」がダメだった時のバックアッププランだろうか。
それにしても、ここまでして来年1月までに名称変更をする理由は何なのだろうか。
知名度だけで言えば、他党に負けないほど抜群の知名度を誇る「NHKから国民を守る党」だが、急いで党名を変更する理由もあるまい。名称変更ありきで「民主党」や「N国自民党」のような名前に変える理由など、どこにもないはずだ。しかし、今になっても名前を決めかねながら、名称変更に踏み切ることは確実のようだ。しかし、どんな名前に変えたところで、NHKから国民を守る党の支持率回復は見込めないことだろう。
もし、NHKから国民を守る党が「民主党」にした場合、一時的に支持率が上がってしまう可能性は否定できない。「ゴルフ党」よりも「民主党」の方が支持率は少しだけ上がるだろう。
支持率が上がってしまう理由は、今、立憲民主党や国民民主党となっている「旧・民主党」が築き上げてきたブランドが、今でも残っているからである。政治に興味のない高齢者は、まさか「NHKから国民を守る党」のような政治ゴロが看板を乗っ取ってしまったとは考えず、かつて応援した「民主党」が戻ってきたのだと錯覚してもおかしくない。あるいは、立花孝志の正体を知らず、そのような名前をつけるからには、昔の民主党のような政策をしてくれるのだろうと期待してしまう人もいることだろう。全体の数としてはそれほど多くはないが、支持率の数字に変化をもたらすぐらいには勘違いする人が生まれてしまうかもしれない。
しかし、「民主党」に名前を変えたところで、彼らの本質が「NHKから国民を守る党」であることに変わりはない。今から他の政党と同じように経済や外交の問題を語り出したところで、政権交代ができるほどに大きな政党になることは考えがたい。というのも、立花孝志は「
地球の人口が増えて食糧危機などが起こることを考えたら、発展途上国の人たちを虐殺しなければならない」という、
ジェノサイド推進思想の持ち主だからである。昔から極端な思想を持ち、炎上体質も変わらない。これでは名前を変えても、立花孝志の政党だということはすぐにバレて、すぐに不人気政党になってしまうことだろう。
立花孝志は「人間界における弱肉強食も自然の摂理」だと考えている。弱者が死ぬのは仕方がないし、強者が弱者を管理しなければならないとも考えている。そんな人間が「民主党」の看板を奪い、政権交代を目指すなどと頭のイカれたことを言ったとしても、支持率は元に戻るだけである。
よって、一部の高齢者などが騙された結果、一時的には0.4%ぐらいの支持率を獲得できるかもしれないが、すぐに0.0%に戻るだろう。