「根拠は『ネットで見た』」だけ!? 改正の根拠崩壊が明らかなのに与党と「ゆ党」が可決させた種苗法

農水省の太田豊彦食料産業局長(筆者のYouTubeより)
大手メディアが肯定的に報じた種苗法改正だが……
 質問に対する太田局長の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果> 
●太田局長:赤信号90% 灰色10%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
 赤信号が実に9割を占めており、質問に対する明確な回答はほとんど無かったことが読み取れる。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
 また、実際の映像は筆者のYoutubeチャンネル「赤黄青で国会ウォッチ」で視聴できる。
国内品種の海外流出の根拠は「ネットで見た」!?
石垣のりこ議員:「ちなみに海外流出の事例、新聞等々でも時々見るんですけども、日本の品種が海外流出していると確認された事例というのは、どのくらいあるんですか?」
太田豊彦局長:「えー、今、少し述べさせて頂きましたけれども、農水省の調査を最近行いました。えー、都道府県において、えー、流通、種苗の流通を厳重に管理していた品種でもですね、その、同じ名前の36品種が中国や韓国の通販サイトで確認をされておりますので、えー、なかなか、流出の、おー、こういった事態を、おー、看過するということは、あー、適切ではないという風に考えています。(赤信号)」  
石垣のりこ議員:「まあ、あのー、実際よく例に出されますシャインマスカットを筆頭にですね、海外流出した事例というのを新聞等々で個別に、いー、了承しているという風には、えー、思うんですが、農水省として、農水省の責任で調査をしている海外流出の基本的データは持ち合わせていないという風な、今、ご答弁であったと私自身は認識致しております。ホームページ等々では見ているけれども、ま、公式な数字として農水省では確認していないということでよろしいでしょうか?」
太田豊彦局長:「今の調査はですね、農水省の、おー、調査でございます。農水省の調査でウェブサイト上で確認されたというものでございます。(赤信号)」  
石垣のりこ議員:「そのウェブサイト上で確認されたということは、それは公式な数字として農林水産省では日本の、えー、種苗が海外流出して・・、流出している事例として、えー、30何例でしたっけ、36例であるという風に公式に見解を表明できるということでよろしいんですか? 」
太田豊彦局長:「えー、これはあくまでも同名の、おー、36品種がですね、ウェブサイト上に、いー、で確認されているということでございます。(赤信号)」  
 太田局長は3問とも質問に正面から回答することはなく、論点をすり替えており、赤信号とした。
1問目
【質問】海外流出の件数
↓ すり替え
【回答】海外流出の確認方法
2問目
【質問】海外流出のデータ有無
↓ すり替え
【回答】海外流出の確認方法
3問目
【質問】海外流出36件は農水省の公式見解か否か
↓ すり替え
【回答】海外流出36件の確認方法
 この3回の答弁において、太田局長は農水省が海外流出を確認できた事例として紹介できたのは、たったの一件である。しかも、「国内品種と同じ名前の36品種が中国や韓国の通販ウェブサイトに掲載されていることを確認した」という非常に曖昧なものであった。定量的でも客観的でもなく、それが農水省の公式見解かと問われた3問目にまともに回答できない有様であった。種苗法改正の根拠として「国内品種の海外流出を防ぐ」「日本ブランドを守る」と謳っていたにもかかわらず、農水省は海外流出の実態をほとんど確認できていないことが露呈した。この3問目の答弁の後、こうした矛盾を石垣議員は以下のように指摘した。
石垣のりこ議員:「はい。まあ、非常に緩い調査というのか、まあ、目視確認というのか分かりませんけども、まあ、今2つの質問させて頂きましたけれども、農林水産省では自家増殖の事実とですね、種苗の海外流出の事実の因果関係、まあ、その因果関係どころか日本の種苗が海外流出して被害を被っている実態を客観的に把握できるデータを持ち合わせていないということが今の答弁から明らかになったのではないかと思います。これで、農家が自家増殖をしているから日本の優良品種が海外に流出しているんですと主張する客観的明確な根拠は無いと言えるのではないでしょうか。」
     1
 2
            ハッシュタグ
            
        