「編集済み」の答弁では政府の不誠実さは伝わらない。限られた紙面で書きにくいものをどう報じるか?

説明責任を担わない政府の姿勢を伝える

 最近の記事を見ると、少しずつ工夫が見られるようになってきている。例えば下記のような記事は、問われたことに適切に答えようとせず、説明責任を担おうとしない政府の姿勢そのものに焦点を当てている。 ●「「まだ質問があります」 無視、首相会見打ち切り帰宅 新型コロナ対策、説明不足のまま」(毎日新聞 2020年2月29日)「菅政権の「答弁控える」はや80回 最も多かったのは…」(朝日新聞デジタル 2020年11月9日)「「頼りない」菅首相答弁 紙渡されボソボソ読み上げ…安倍氏から学んだことは?」(毎日新聞 2020年11月16日)  そういう記事と同時に、下記のように、1つ1つのストレートニュースにおいても、「言及せず」「答えず」のように、本来あるべき説明が欠落しているという「事実」を繰り返し報じていただきたい。そうして初めて、そのことに世論の問題意識は立ち上ってくるだろう。 ●感染最多、首相「最大限の警戒状況」 GoTo言及せず:朝日新聞デジタル 2020年11月19日 ◆短期集中連載「政治と報道」第5回 <文/上西充子>
Twitter ID:@mu0283 うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。また、『日本を壊した安倍政権』に共著者として参加、『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆している(ともに扶桑社)。単著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)ともに好評発売中。本サイト連載をまとめた新書『政治と報道 報道不信の根源』(扶桑社新書)も好評発売中
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『日本を壊した安倍政権』

2020年8月、突如幕を下ろした安倍政権。
安倍政権下で日本社会が被った影響とは?