単行本の累計発行部数4800万部。戦後の野球マンガの代表作
戦後の野球マンガの代表作『ドカベン』(水島新司/秋田書店)
戦後の野球マンガの代表作として
『ドカベン』(秋田書店)を挙げる人は多いに違いありません。水島新司が描いたこの作品は、1972年から1981年まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載されました。
単行本の累計発行部数は4800万部を記録しています。またその後『大甲子園』『ドカベンプロ野球編』『ドカベンスーパースターズ編』『ドカベンドリームトーナメント編』と続き、2018年6月をもってシリーズは完結。延べ46年に及ぶ連載が終了しました。
『ドカベン』は神奈川県の明訓高校野球部に所属する主人公の「ドカベン」山田太郎と、同級生でチームメイトの里中智、岩鬼正美、殿間一人、微笑三太郎など、そしてライバル校の選手たちの高校野球での活躍を描いています。
山田のいた時代の明訓高校は5季連続で甲子園出場。うち4度の全国制覇を成し遂げます。ただ連載初期は、中学時代の山田、岩鬼、そして山田の妹のサチ子が軸になった柔道マンガでした。途中で山田は柔道部から野球部に移籍しています。
『ドカベン』神奈川県大会での聖地「ドカベンスタジアム」
現在、神奈川県大会の決勝が行われている横浜スタジアム
明訓高校の校名の由来は、水島新司の故郷・新潟にある新潟明訓高校であることはよく知られています。作中では、新潟明訓とは姉妹校という設定がなされています。しかし作中の明訓高校は神奈川にある架空の私立高校です。
神奈川県では、現在は県大会の主会場は通称「ハマスタ」と呼ばれる横浜スタジアムですが、それができるまでは保土ヶ谷球場が主会場でした。『ドカベン』では明訓高校はライバルたち、不知火や雲竜、土門らとこの保土ヶ谷球場を舞台に競い合います。明訓高校は1、2年時、3年春の決勝を保土ヶ谷球場で、3年最後の夏の決勝は「ハマスタ」で行いました。
「ドカベンスタジアム」との愛称がついた大和スタジアム
同じ県大会予選で使用される球場のひとつに、大和スタジアムがあります。ここは「ドカベンスタジアム」の愛称がついていて、球場改修時に大和市が水島新司に打診して球場入り口に山田太郎と里中智のブロンズ像が建てられたことに由来します。明訓高校が神奈川県にあるという設定なので、大和スタジアムの聖地化には必然性があります。
大和スタジアムでは毎年、高校野球神奈川県大会の予選が行われている
そのほかの『ドカベン』の聖地としては、水島新司の生まれ故郷である新潟市の古町地区のアーケード街。ここに設置されているブロンズ像は一時期、撤去の話も浮上していましたが、存続されているようです。アーケードは正式には「水島新司まんがストリート」といい、全7体のブロンズ像のうち4体が『ドカベン』の登場人物になります。