鈴木直道知事は、先の北海道知事選で菅首相(当時は官房長官)が後押し。”菅チルドレン”とも呼ばれている。
そんな沢村町議に「鈴木直道・北海道知事には『民意を反映しない欠陥法だ』と最終処分場選定の法律改正を国に申し入れてほしいですか」と聞くと、やや冷めた答えが返ってきた。
「東洋町で最終処分場問題が持ち上がった時、橋本大二郎・高知県知事(当時)は国に掛け合ってくれた。北海道の鈴木知事は菅首相と仲がいいから、掛け合ってくれるかどうか」
なお東洋町の文献調査応募に対しては
「自民党も高知県議会の反対決議に賛成した」(澤山氏)という。しかし北海道では、文献調査応募に自民党国会議員や道議が反対の声をあげた話は聞いたことはない。当時の高知県と現在の北海道では、知事や自民党地元議員の反応に大きな違いがあるようなのだ。
沢村町議はこう話す。
「道議会も寿都町議会も自民党が多数を取っている。自民党が反対しないと、反対決議はできない。数は力だから」
筆者はこれまでも鈴木道政の取材を続けてきていて、
「菅チルドレンの鈴木知事は、元官僚の高橋はるみ前知事以上の、官邸言いなりの国策追随型知事になるのではないか」と懸念していたが、その予想は的中している。
寿都町の応募検討報道が出た当初、鈴木知事は核のごみ持込拒否の道条例の順守を求め、調査反対の考えも示したが、次第にトーンダウン。片岡町長に条例順守を指示することも、経産省に法律違反の応募の撤回を求めることも、国に欠陥法改正を申入れることもしていない。
同じ法政大学出身で、知事選でも支援を受けた菅首相との太いパイプを活かして掛け合った形跡は皆無なのだ。
前政権の原発推進政策を継承する菅政権、物言わぬ国策追随型知事。そして、法律違反も平気な独裁的町長という条件が重なる中、最終処分場建設で壊滅的打撃を受けかねない寿都町民を含む道民が今後、どんな反転攻勢をしていくのかが注目される。
<文・写真/横田一>