「刈羽村長選」に見る、日本の闇。足元の選挙をしっかり見ないと日本は取り返しがつかなくなる
2020.11.14
あまり知られていないのですが、11月15日、日本の未来を大きく左右するかもしれない選挙が行われます。それが「柏崎市長選」と「刈羽村長選」です。
ご存知だと思いますが、柏崎市と刈羽村には東京電力が運営する日本最大級の「柏崎刈羽原発」があって、福島第一原発事故の検証がまだ終わっていないにもかかわらず、事故を起こした当事者である東京電力が、懲りもせず、再び原子力発電所を稼働させようとしているのです。言ってしまえば、一度は事故を起こして人を殺してしまった人が、また反省もなく車を運転しようとしているのと同じです。柏崎刈羽原発の再稼働は、柏崎市長、刈羽村長、新潟県知事の3者の同意があれば実現してしまいます。だからこそ、11月15日に行われる「柏崎市長選」と「刈羽村長選」からは目が離せないところなのですが、実は、この重要な選挙がとんでもないことになっていることを、ほとんどの人が知りません。
柏崎刈羽原発の再稼働に賛成するにしろ、反対するにしろ、実は、柏崎市長選の方には選択肢があります。
現職の桜井雅浩さんは、将来的には風力発電や太陽光発電にシフトするべきだとしながらも、火力発電をすれば二酸化炭素が排出されて地球温暖化につながってしまうのだから、今は原子力を容認するべきだというスタンス。
一方、新人の近藤正道さんは、福島第一原発事故で原発がちっとも安全ではないことは証明されているし、もし柏崎刈羽原発で同様の事故が起これば、双葉町や大熊町のように、柏崎市が人の立ち入らない街になることは明らか。だから、今こそ原発の再稼働は見直すべきだと訴えています。悲しいことに、全国的な世論調査では原発再稼働は止めるべきだという人が多いのですが、原子力施設の立地する自治体では、収入の多くを原子力関連に依存していることもあって、反対する人はあまり多くありません。とはいえ、自分の気持ちを1票に託すことは可能だと言えます。
現地を取材してみると、争点は「原発問題」であるものの、市民が重視しているのは「原発」ではなく「地域経済」が中心のようです。
結局、原発の再稼働問題とは言いつつ、市民にとっては発電方法なんて何でも良くて、ただ原発を再稼働するとなれば数多くの作業員が必要になり、その人たちが休日や仕事帰りに買い物や飲み歩きをしてくれるようになれば、地域にお金が回るようになる。火力でも原子力でもいいから、とにかく街に賑わいが欲しいというのが市民の願いです。なので、原発を動かしてでも街に賑わいを作ろうとしている人と、とにかく原発を止めようと言っている人と、市民が見比べた時にどちらが魅力的に映るのかという話になってしまうのです。
柏崎市長選には選択肢がある
市民が重視するのは経済政策が中心か
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