女性やマイノリティにフォーカスしたハリス。勝利演説から浮かんだバイデンとの「役割分担」

カマラ・ハリス

Photographer: Sarah Silbiger/Bloomberg via Getty Images

 ネットを中心にさまざまなデマが飛び交うなか、蓋を開けてみればバイデン陣営の圧勝に終わった米大統領選。トランプ陣営の訴訟や政権移行など、就任まではドタバタが続きそうだが、やはり大きく注目されたのは初の女性副大統領となったカマラ・ハリス氏だ。

ハリスも触れた「アメリカの魂」

 当サイトではジョー・バイデン次期大統領の勝利演説をご紹介したが、今回はハリス次期副大統領のスピーチを見てみよう。(参照:abcNEWS) 「ジョン・ルイス下院議員は亡くなる前、『民主主義は状態ではない。行動だ』と書きました。彼が意図したのは、アメリカの民主主義は保証されたものではないということです。  その(民主主義の)強さは、我々がそのために戦う意志の強さに比例します。それを守り、絶対に保証されたものだと思い込まないことです。我々の民主主義を守るには努力が必要です。犠牲を伴います。しかし、そのなかには喜びもあります。  そして、進歩があります。なぜなら、我々、国民にはよりよい未来を作る力があるからです。  今回の選挙では、我々の民主主義そのものが、アメリカの魂そのものがかかっていました。世界が見守るなか、皆さんはアメリカに新たな日をもたらしてくれました」  注目したいのは、バイデン氏と同じく「アメリカの魂」という言い回しをしている点。そして、今年2月に亡くなった公民権運動の活動家ジョン・ルイスへの言及だ。トランプ大統領に投票した保守層、そしてバイデン候補に投票したリベラル層どちらにも向けたスピーチであることが伺える。

科学と真実を強調したハリス

 ご紹介したようにバイデン候補はトランプ支持者と共和党への団結を呼びかけるニュアンスが強かったが、全体的にハリス氏はよりバイデン支持者や自らのアイデンティティに根づいたメッセージを強調していた。こうした「役割分担」は、今後の政権運動にも活きていくだろう。下記の「結束、品位、科学、真実」といった言葉は、フェイクニュースを叫び続けたトランプ支持者への牽制とも取れるはずだ。 「嘆き、悲しみ、痛み、不安や苦闘もありました。しかし、我々は皆さんの勇気、皆さんの反発力、不屈の精神も目にしました。4年にわたって、皆さんは前に進み、平等と正義、命と我々の星のために団結し、投票してくれました!  そして、明確なメッセージを届けてくれたのです。皆さんは希望結束品位科学、そして真実を選んでくれました! 皆さんはジョー・バイデンを次期アメリカ大統領に選んだのです!」
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オバマ×バイデンを彷彿とさせるハリスの立場
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