インド太平洋構想の推進は必須。アメリカ依存から脱却すべし!
対立を深める米中新冷戦。その狭間に立たされる日本に課題がないわけではない。
「これはトランプ時代にも言われていたことですが、バイデンはアメリカの世論を意識して、日本に対して防衛費の負担増を求めてくるでしょう。貿易の面でも関税の引き下げなどアメリカに都合のいいルールを押しつけてくることも考えられます。バイデンはトランプのような脅し型ではないけれど、それなりに物は言ってくるはずです」
そう語るのは、国際ジャーナリストの蟹瀬誠一氏。今後、日本がとるべき立場について、見解を聞いた。
「今の日本は安全保障面で、一から十までアメリカに依存している。もちろん、日米同盟は基軸ではあるけれども、それに加えて“自由で開かれたインド太平洋構想”を進めることが大事です。インドやASEAN、ヨーロッパでも中くらいの国のことをミドルパワーと言いますが、こういうところと上手に付き合っていくことで、最大の脅威である中国と対峙し、同時にアメリカの圧力にも対処していけるはず。そもそも、アメリカは国内問題への対応で手いっぱいなうえに中国、ロシア、イランという3つの脅威に晒されているのが現状ですから、日本がアジアで上手にプレゼンスを高められれば、より良い日米関係が築けると思います」
アメリカ一辺倒から脱却するためにも、インドやオーストラリアをはじめとした国々との関係強化は必須。加えて、菅首相が間違いなく求められるのは、北朝鮮問題への積極的な姿勢だとも言う。
「バイデンは朝鮮半島の非核化を求めており、副大統領になると見られるハリスは『北朝鮮問題の解決は日本と韓国という同盟国の関与が必要だ』と発言しているように、日本の主体的な解決姿勢が求められます。菅首相がリーダーシップを発揮して問題解決にあたることが求められますが、今の彼を見ているといくばくかの不安も。外交とは安倍首相がトランプとゴルフで関係を深めたように、トップのパーソナリティが大きく影響しますが、菅首相は喋り方に覇気がないし、国会答弁を見る限り臨機応変さもない。この調子でバイデンやハリスと深い関係を築けるかというと、少々疑問ですね」
菅首相といえば無類のパンケーキ好きで知られているが、かたやバイデンはアイスクリームに夢中という情報もある。果たして“スイーツ外交”で攻略できるのか――見ものだ。