日本学術会議の任命拒否問題について、11月2日から始まった予算委員会で
菅義偉総理は連日、
支離滅裂な答弁を繰り返している。回答に対する再質問が可能となる委員会質疑では、菅総理の一方的な回答拒否や原稿の棒読みは全く通用せず、
喋れば喋るほど新たな矛盾が生じ、もはや収拾がつかなくなっている。
前回記事で伝えた11月2日の質疑から祝日を挟んで迎えた11月4日の衆議院予算委員会。立憲民主党・
辻元清美議員の質問に対して、菅総理は「6名の任命拒否を決裁前に知っていたこと」や「その説明を
杉田和博官房副長官から受けたこと」を明確に認める答弁をした。これまで「任命前の105名のリストは見ていない」としてきた菅総理の主張とまたしても矛盾するため、この質疑は大きな注目を集めた。
本記事では、その回答がなされた約6分間の質疑を一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(
青はOK、
黄は注意、
赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
質問に対する菅総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●菅首相:
黄信号73%
青信号20%
灰色7%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
黄信号が約7割を占めている。青信号は2割にとどまっているが、この中に冒頭で紹介した問題の答弁が含まれている。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
また、実際の映像は筆者のYoutubeチャンネル「
赤黄青で国会ウォッチ」で視聴できる。
まず、辻元議員は6名の任命拒否を菅総理はいつ知ったのかということに焦点をあてて、質問を重ねていく。その中で、突如として問題の答弁が飛び出してくる。その質疑は以下の通り。
辻元清美議員(1問目):「そうすると総理はですね、『懸念は伝えた』と。しかし、具体的に『こういう6名の方がこうこうこういう理由で、えー、任命から外されました』という説明は、えー、受けてないということですね。具体的な名前を入れて。」
*菅総理は官僚が差し出したペーパーを確認し、答弁に立つまでに15秒ほどかかる
菅義偉総理:「
先ほども申し上げましたように懸念や任命の考え方を官房長官や副長官を通じて、内閣府に、いー、それに基づいて、9月24日に内閣府が99名任命する旨の決裁を起案して9月28日に私のところに決裁が回ってきて、決裁を行ったということ。」(
黄信号)
辻元清美議員(2問目):「今、同じ答弁されているんですよ。ですから、これだけ騒ぎになって6名の方のお名前ですね、加藤さんと宇野さんとか。具体的にこういう人が外れてたんだと総理が名前も認識したのは決裁の後ですか?」
菅義偉総理:「
決裁をする前に、そのー、99人にするという話は報告を受けてましたから。」(
黄信号)
辻元清美議員(3問目):「ですから、105名出されてて6人のこういう人が、えー、外されたんだということを総理が名前も含めて自覚したのはいつかと。決裁しちゃったけど、その後、大騒ぎになりましたよ。それで、こういう6人が外されてたのかと。まあ、その時にお知りになったということでよろしいですね。」
*総理の記憶を尋ねているのに官僚がペーパーを差し出したため、辻元議員が抗議する
菅義偉総理:「
私が、その、99名の、その、決裁をする、うー、前です。決裁を、99人であがってきて、その前にこういう形であげますからという形です。」(
青信号)
*これまでの菅総理の主張と異なるため、辻元議員は「えっ!?」と大きな驚きの声をあげる
辻元清美議員(4問目):「決裁のハンコを押す前にこんな6名の人が外されたという事を知ってたということですか?」
菅義偉総理:「
そういうことです。」(
青信号)
ここまでの4問のやり取りについて、内容を確認していきたい。
まず、1問目と2問目に対して菅総理は周知の事実(99名任命の決裁までのプロセス)を述べているだけで
黄信号とした。注目したいのは、その直後の3問目の
青信号の回答。
突如として、
6名の任命拒否を知ったのは「99名の決裁をする前」だと答弁したのだ。これは、「任命前の105名のリストは見ていない」としてきた菅総理のこれまでの主張と矛盾するため、この答弁が出た瞬間、辻元議員を始めとする野党議員からは驚きの声があがり、時間が止まったかのような混乱した雰囲気が委員会室に流れた。この瞬間は筆者のYoutubeチャンネル「赤黄青で国会ウォッチ」で公開している
質疑動画の2分13秒から確認できる。
菅総理が決裁前に6名の任命拒否を知っていたことを認めたことで、この質疑はここから一気に動き出す。