筆者You Tubeチャンネルより
解決の兆しが一向に見えない日本学術会議への人事介入問題。6名が任命拒否された経緯についてこれまで菅義偉総理は、一部の記者のみが参加を許されたグループインタビュー 、回答に対する再質問ができない本会議での代表質問など、突っ込んだ質疑は難しい状況でしか口を開いてこなかった。そうした守られた状況の中ですら、菅総理の主張は二転三転し、もはや
支離滅裂と呼ばざるを得ない状況に陥っている。
そうした中で迎えた2020年11月2日の衆議院予算委員会。回答に対する再質問も可能な委員会質疑という状況で、立憲民主党・川内博史議員の質問に対して菅総理の口から大きな進展と呼べる答弁が引き出された。本記事では、その回答がなされた約7分間の質疑を一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(
青はOK、
黄は注意、
赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
質問に対する菅総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●菅首相:
赤信号 黄信号54%
青信号27%
灰色8%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
赤信号と黄信号が約6割を占めている。青信号は3割弱にとどまっているが、この中には冒頭で紹介した大変重要な答弁が含まれている。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
また、実際の映像は筆者のYoutubeチャンネル「
赤黄青で国会ウォッチ」で視聴できる。
まず、川内議員は推薦された6人を任命拒否するにあたって、その
決裁文書が存在するのかを確認する。菅総理は10月9日のグループインタビュー で「
任命前の105人のリストは見ていない」と発言しているため、この話が正しいとすると決裁文書は存在しないはずである。その質疑は以下の通り。
*この質疑の直前にも川内議員は同じ質問をしており、なぜか政府参考人の内閣府・大塚幸寛 官房長が答弁に立ち、質問と全く関係ない話を答弁したため、菅総理に改めて質問したという経緯がある
川内博史議員:「いや、総理ね、あのー、私が聞いたのは『6名の任命をしないよ』と、総理大臣としては『
6人の任命をしないということを意志決定した決裁文書がありますか』ということを聞いてるんですね。で、総理は6人の名前は見てないわけですから、
見てないとおっしゃっているので、当然、無いはずなんですよ。『無いよ』と『それは無い』とおっしゃるのが総理大臣としての、私が総理の答弁をここで言うのも変な話ですけど、『無い』ということをおっしゃって頂くのがですね、まあ、あのー、大事なことかなという風に思います。」
*菅総理が答弁に立とうとするが、金田勝年委員長はまたしても挙手した政府参考人・大塚官房長を指名。野党議員の猛抗議を受けて、菅総理を指名し直して、ようやく菅総理が答弁を始める。
菅義偉総理:
「
私は、あのー、99名について、えー、任命したということです。(
赤信号)」
川内博史議員:「いや、だから、6人をですね、『任命しない』と。『俺は、しないんだ』ということを意思決定した文書が存在するのかと。政府として意思決定するのかしないのかって、非常に大事なことなので、あのー、それを聞いてるんです。」
菅義偉総理:「
99名を、おー、任命した旨の決裁文書はあります。(
赤信号)」
菅総理は2回とも
論点をあからさまにすり替えており、
赤信号とした。
1回目
【質問】6人を任命拒否した決裁文書
↓ すり替え
【回答】99人の任命
2回目
【質問】6人を任命拒否した決裁文書
↓ すり替え
【回答】99人を任命した決裁文書
これまでと同様、
6名を任命拒否したプロセスに関する質問には頑なに答えないという菅総理の姿勢がはっきりとあらわれている。