絶好調のアメリカ経済に死角はないのか?

労働賃金の減少、原油価格の下落でアメリカ経済に難癖をつける輩がいる。そんな不安など今のアメリカ経済には取るに足らないことだとぐっちーさんは語る。果たして、その真相とはいかに!?

まさに絶好調! アメリカ経済に心配はなし!!

(現役金融マン ぐっちー氏)  アメリカ経済が今年は絶好調なのだ、と当欄で書きました。早速12月の雇用統計が出てきましたが、あっと驚くような内容で、非農業者雇用者数は25万2000人の増、そして失業率は5.6%に下がりました。10月、11月の雇用者数も上方修正となり、まさに絶好調。ところが労働賃金が多少下がったために、景気回復とは言えない、賃金上昇なき雇用回復だと難癖をつける向きが出てきました。まったく何を言っているんだか……。
非農業部門雇用者数

非農業部門雇用者数の推移。’14年の合計雇用者数は295万2000人の増加となり、2000年代では、一番の数字になった。ここまでの好転はアメリカ経済の強さの証しだ

 現在の労働適正人口(25歳から54歳)が、ここ10年ずっと下がり続け、ようやく上昇に転じているという点では’60年代とよく似ています。いわゆるベビーブーマーが登場するまで’60年代も労働適正人口が減少し続けていたのです。その’60年代は失業率が4%に低下するまで労働賃金の上昇はありませんでした。  考えてみると年をとった雇用者が引退して、若者に代わるわけですから、一時的に労働賃金の減少が起きる可能性は否定できません。ベテラン労働者に比べ、新人が安い賃金でスタートするのは普通。となると、彼らがプライム水準の労働者になるまで賃金上昇圧力が起きない可能性もあり、一時的な賃金停滞を経済停滞と取り違えるのは早計です。  それから、原油価格の下落でシェール関連のエネルギー会社が破綻、関連の雇用者数が減り雇用市場が悪化するのではないか、という声があります。確かにシェールでバブルが起きているノースダコタなどの失業率2%などという極端なレベルは修正されるかもしれません。  しかし、全米規模で見れば、原油価格の下落はプラス要因こそあれ、マイナス要因はありません。車社会のアメリカ家計におけるガソリン価格の可処分所得に対する影響度は極めて高く、ガソリン価格が下がることによる消費余力の増大は極めて大きな影響があるからです。GDPの7割が個人消費関連というGDP構成を忘れてはいけません。 ⇒【後編】に続く http://hbol.jp/23135 【選者】現役金融マン ぐっちー氏 ウォール街で20年生きてきたノウハウからブログを執筆するアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://sweetpoolside.jp/)を主宰している 図版/ミューズグラフィック
ハッシュタグ