注目されなくなった「大学入試のあり方に関する検討会議」。受験生のためにも注視していく必要

錯綜する情報とこの会議の役割

 10月21日のNHKの報道で「情報I」という科目を「情報」として共通テストの中に入れることについて「検討案をまとめた」というものがありました。この報道は、誤情報ではありませんが、誤解を与えやすいため、10月23日に、大学入試センターからは、「大学入学共通テストを共同で実施する大学関係者はもちろん、高校関係者に対しても情報提供を行い、ご意見を伺っているところです」といった「火消し」にも見える通達がありました。  なお、今回の会議でも国立大学協会入試委員会委員長の岡正朗委員から、 「情報Iを共通テストの科目に入れることについては慎重にあるべき。理由は、現在の高校でどれだけ情報I をきちんと教えられる教員がいるのか、そして情報Iが入ることによる高校現場の負担増を見極めなければならない」 という趣旨の発言があったばかりですので、やはり「情報I」が入ることはほぼ確定された事項と考えるには、まだ早いかもしれません。結果的に令和7年の共通テストに「情報I」が入るかもしれませんが、まだ確定ではないということです。  実のところ、令和7年の共通テストでは「情報」を入れること以外の改善点も考えられていますが、それらに関してはこの「大学入試のあり方に関する検討会議」の検討結果を踏まえて結論を出すとのことです。

この会議が重要であることを理解してほしい

 これまでの説明の通り、この「大学入試のあり方に関する検討会議」は、一定の重要な役割を担っていますが、第6回以降、長期欠席をしているか発言が全くない委員が一人います。(傍聴画面では欠席しているかどうかは確認できません。)  委員を辞任しているという情報もありませんが、貢献していないのであれば別の有識者を入れるとよいかと思います。会議を通じて貢献できる方はたくさんいます。 <取材・文/清史弘>
せいふみひろ●Twitter ID:@f_sei。数学教育研究所代表取締役・認定NPO法人数理の翼顧問・予備校講師・作曲家。小学校、中学校、高校、大学、塾、予備校で教壇に立った経験をもつ数学教育の研究者。著書は30冊以上に及ぶ受験参考書と数学小説「数学の幸せ物語(前編・後編)」(現代数学社) 、数学雑誌「数学の翼」(数学教育研究所) 等。 
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