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スペインはコロナウイルス累計感染者が遂に90万人を超えた。ヨーロッパで最も感染者の多い国となっている。
そんな中、批判の的になっているのが一部大学生だ。今月に入って全国レベルでニュースとして取り上げられたのはバレンシア工科工芸大学の学生が週末に集まって飲み会をやってコロナ感染者が検出。同大学が今月6日から16日まで休校になった。
この飲み会というのはスペイン語で
ボテリョン(Botellón)と呼ばれている集まりで、アルコール飲料と音響機器などを持ち込んでワイワイガヤガヤやるパーティのことだ。それをやる場所は一定していない。要するに大勢が集まれる場所が選ばれている。ボテリョンが誕生したのはクラブの入場料が高いということで、そこに行かなくても飲んで駄弁って踊って愉しくひと時を過ごす方法が若者の間で思いついたのがボテリョンである。これだと、クラブの入場料よりも遥かに割安で収まる。
今回のバレンシア工科工芸大学の感染元は同大学に通う学生寮ガリレオ・ガリレイだった。この学生寮はスペインで最も規模の大きな学生寮の一つで650人の学生がそこで生活している。
先月21日から新学期が始まったばかりで、その最初の週末に同学生寮の多くの学生が寮内にある屋根付きの広場にあつまってマスクを着用することもなくボテリョンを行ったようだ。学生寮ではそれは禁止されているが、いつもの学生のことで、そのような規則は無視する傾向にある。
同大学の診療所にバイオテクノロジー学部の数人の学生がコロナ感染の症状を訴えて来たのが今月1日のこと。検査でコロナに感染していることが判明。その時点で確認された感染者の数は14-15人。早速、寮の学生700人余りに検査を実施。5日の時点で120人が感染していることが判明。
ということで、大学側では6日から16日までを休校にした。感染した学生は部屋に隔離され週末は実家で過ごさないように寮の方で食事を部屋まで持っていくようにしたそうだ。
このような事態に陥ったことで学生会は感染した彼らの無責任な行動を強く批判している。彼らのせいで授業も休講となったからである。
現在、同学生寮では部屋に隔離されている学生の進行状況を観察すべく医師が常住している。
その寮に入っている匿名希望の学生によると、彼女の隣の部屋に自治体警察が来てそこで騒いでいた学生を外に出したことがあるそうだ。また、その学生は、今回のような過ちはまた繰り返されると指摘している。
今回、感染者が出たことも管理人の方からは何も知らせはなかったそうで、メディアがそれを取り上げて彼女は初めて知ったという。食堂は現在閉まっていて、部屋まで食事を持って来てくれることになっているそうだ。
またもうひとり別の学生によると、週末実家に帰るのに同じ寮の仲間を多く見かけたそうだ。彼女によると、寮が指摘している感染予防手段というのはいい加減で、食堂に行っても多くの学生は距離を置いて並ぶことはなく、コロナウイルスの除菌ジェルも備えられてはいるが多くの学生はそれを手に付けることもないそうだ。
この影響で、バレンシアにある他の4つの大学においても感染者が93人確認されており、授業を休校にしている学部もあるという。(参照:「
El Pais」、「
Levente」)