リニア実験車両火災事故は、「火花」では済まされない! 5000℃以上の超高温電流が従業員を焼いていた

JR東海からは事故についての説明なし

裏側から撮影した車両基地2 この件で今年4月13日、もとむら伸子衆議院議員(共産党)が国会の決算行政監視委員会で質問に立ち、事故の詳細を尋ねた。これに対して、国土交通省の水嶋智鉄道局長はこう回答した。 「実作業を行っていた1名は現在も入院加療中のため、事故発生当時の状況の詳細な確認がまだ十分に行えておらず、当該作業員の回復を待って今後更に究明をする予定ということでございます」  では、この従業員はまだ入院しているのか? 筆者は9月17日、国土交通省鉄道局に電話を入れた。  そこで得た情報は、従業員は全身に火傷を負って入院していたが、コロナ感染を避けるため、数か月前(時期は不明)から自宅療養をしている。今秋のどこかで、治療のために再入院する……ということだった。  加えてJR東海は「本人からまだ詳細を聞けていない」というので、なぜアーク放電が起こったかは明らかにされていない。  筆者が確認したいのは、これが単なる作業ミスか、それともリニア新幹線のシステムに起因するのかどちらなのかということだ。  火災を起こした車両には電源としてガスタービンを搭載していたが、今年デビューした新型車両にはガスタービンがないので、ガスタービンが原因ならば同じ事故は起こらないといえる。何が推測できるかは、今後、科学的な知見を有する識者たちから情報を集めたいと思う。  だがそういった情報収集は本来、JR東海が行うべきだ。しかし、同社からの事故についての説明はない。ちなみに、鉄道局も筆者同様に火災の原因がアーク放電であることはつかんでいた。だがその情報すらJR東海からは公表されないのだ。  ともあれ、まずは火災にあった従業員の方の回復を祈るばかりだ。 ※記事内、断路器の説明で「ブレーカーのようなもの」「いわゆるブレーカー」とありましたが、ブレーカーは遮断器であり、断路器とは異なるため訂正致しました。10/7、9:43 <文・写真/樫田秀樹>
かしだひでき●Twitter ID:@kashidahideki。フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。
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