菅新政権、アベノミクス踏襲でマーケットは歓迎ムード。[スガノミクス相場]はどうなっていくのか?
7年8か月ぶりとなる新しい首相が誕生した。菅義偉首相率いる新内閣の経済政策は、株式市場にどんなインパクトをもたらすのか。“スガノミクス相場”の可能性について取材した。
総裁選で圧倒的な支持を集めて発足した菅義偉新内閣。新味はないが実績重視の閣僚人事で、報道各社の世論調査でも高い支持率を得る好スタートを切った。安倍前首相の退任表明で一時下落した日経平均株価も、その後は底堅く推移している。
株式市場はひとまず“スガノミクス”を好感したわけだが、かつてのアベノミクスのように株価を強力に押し上げる力はあるのか。楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは「長期政権の可能性が認められるかどうかにかかっている」と話す。
「日本株の売買シェアの過半を握る外国人投資家は、強いリーダーが率いる長期政権を好みます。これまでも安倍前首相や小泉元首相が率いて圧勝した解散総選挙の前後には、日経平均株価は大きく上昇しました」
菅首相もピンチヒッターのままでは短命政権とみなされるおそれもあるが、解散総選挙で国民の信任を得れば内外から長期政権を築ける強いリーダーと認められることになる。そうなれば、外国人投資家は日本株買いに転じる可能性が高いという。
総裁選には安倍政権の踏襲を前面に打ち出して臨んだ新首相だが、今後は独自色を強めそうだ。その一丁目一番地となるのが、’21年に発足を予定しているデジタル庁だ。窪田氏はこう解説する。
「安倍政権が強力に推し進めた『官邸主導』も、実行したのは官房長官だった菅氏です。横浜市会議員の時代から、ケンカしてでも規制緩和に熱心に取り組んできた。新政権でも強いリーダーシップを発揮していくと考えられます」
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって、オンライン診療や自動運転、マイナンバー活用などは、今後も有望な投資テーマになりそうだという。
そしてもうひとつ、新首相が並々ならぬ執念を燃やしているのが、総務大臣のときに達成できなかった携帯電話料金の引き下げだ。マーケットアナリストの藤本誠之氏はこう解説する。
「大手3社の販売奨励金やSIMロックといった仕組みに菅首相は長年にわたり疑問を呈し、格安スマホ参入による価格競争を促してきた。携帯料金を下げれば多くの国民が恩恵を受ける」
収益が悪化する携帯大手3社にはネガティブ要因だが、藤本氏は格安スマホ事業者であるMVNOは有望な投資先になると期待する。
「MVNOはデータ通信料を安く提供する半面、大手の音声通話の回線使用料が高いままだったため、かけ放題サービスを提供できなかった。しかし今年になって総務省がNTTドコモに値下げを求めたことで、日本通信が念願のかけ放題プランを発表。今後この動きが他社に広がる可能性もあります」
株価は「長期政権の可能性が認められるかどうかにかかっている」
携帯料金引き下げでMVNOが恩恵か
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