この9月に入り、ホワイトハウスからホワイトハウス・新型コロナウイルス対策タスクフォースの専門家集団は、事実上排斥され、整骨医であり放射線および磁気画像診断医である
スコット・アトラス医学博士がホワイトハウスの新たな医療アドバイザとなりました*。
この人物は「IHMEの予測は7月の山を予測できなかったガラクタだ。第三波など来ない」と批難していますが、「
そりゃあんたの取り入った大将が原因でしょうが」というほかありません。
アトラス博士は、筆者の評ではありますが、「
ホワイトハウスのラスプーチン」であり、CDCやFDAへの露骨で異常な政治介入、集団免疫戦略への転換ではないかと考えるほかない
混乱の元凶であり、
全く専門性のない政治任用の人物です。何しろこの方は、専門を語るので無く政治に阿った言葉を発しています。本邦では政治の褌担ぎが専門家のお仕事という悲惨な実態がありますが、合衆国でこのような事が起きている現実に筆者は驚愕しています。記者会見を見て筆者は余りの驚きに座椅子ごとひっくり返ってしまいました。
〈*
New Trump coronavirus adviser Scott Atlas pushes controversial ‘herd immunity’ strategy 2020/09/01 The Washington Post〉
日本時間2020/09/29正午放送のCNN Tonight Don Lemonで報じるところでは、ファウチ博士は、最早処置無しとしてブリーフィングを全てアトラス博士に任せているとのことですが、CDCのレッドフィールド所長は、「アトラス博士の言葉には何も事実がない」と批判しているとのことです。まるで本邦の「分科会」(旧専門家会議)ですね。
本邦も似たようなものではありますが、合衆国の場合は既に20万人を超える市民が犠牲となり、そのうち10万人近くはトランプ政権の失政によるものと考えられ、国家元首として完全に不適格な人物を戯れに選んだ市民が、合衆国全住民の命で代償を払う羽目になっています。尤も、本邦では見かけ上専攻こそヘンテコではありませんが、
本質的にはアトラス博士と変わらない人たちがズラリと専門家を僭称していますので余程の奇跡が無い限りこの先思いやられます。
本シリーズ第1回の2ページ冒頭にて、
波の再定義について説明しましたが、図が無いと分かりにくいという読者からの指摘がありましたのでここで図をもちいて説明します。
波の再定義とBaselineおよび数値取り扱い上の注意
本邦において統計の数値は、発表後二ヶ月安定しないが、とくに発表後二週間は大幅上方修正が起こりうるために取り扱いには注意を要する。
本来は、発表後少なくとも二週間の保留期間を要するが、それでは長すぎるので筆者は発表後一週間を保留期間としている。
Our World in DATAのグラフを筆者により加筆
次回は、韓国と本邦に注目しIHMEなどによる長期予測の挙動を論じます。
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ27:予測の癖と弱点1
<文/牧田寛>
Twitter ID:
@BB45_Colorado
まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについての
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