このような状況であるので、「不妊治療に保険が適用されることについてどう思いますか」という質問には、「とても賛成」と「やや賛成」が合わせて95.0%と、ほとんどの人が賛成となった。
とはいえ、保険適用になれば、それだけでいいというわけではない。「不妊治療で大変だと思うことを教えてください」と質問したところ、やはり「治療にかかる費用の負担」が94.0%で最も多かったものの、「治療によってかかる精神的負担」も89.2%、「治療と仕事の両立」も76.8%だった。
最も多い「費用の負担」については、今回の政策での解消を見込めるだろう。一方で、2番目の「精神的不安」についてもほぼ9割と依然として高い数字だとなっており、こちらについても効果的な手立てがあれば欲しいところだ。
自由回答には、「自然に妊娠出来る人はお金をかけずに子どもを授かれるのに、不妊治療は多額のお金をかけた後にできるかもわからない治療を繰り返していると精神的にも金銭的に辛いです。せめて金銭的な負担が軽くなることを強く願っています」とあった。金銭的な補償が精神的な負担の軽減にも繋がるのではないかと期待したい。
大多数の人が保険適用に賛成していたものの、「そんな事で少子化は改善されない」という反対意見もあった。確かに、「待機児童の解消」「子ども手当て」など様々な対策がなされてきたが、出生率の低下は続いている。今回も結局効果はないのではないか、そんな気もしてしまう。
また、「不妊治療が増えてるのは、初産の年齢が上がっているからだと思います。女性が働きながらいつでも出産子育てできるよう支援を強化することが先決だと思います」という意見もあった。女性が学びながら、働きながら出産できるようにすることが優先だというのだ。
しかし、不妊治療への保険適用は「少子化対策」だけではなく、多様なライフスタイルの中から私たちがより自由に選択できるようななるための、私たち自身へのチャンスなのかもしれない、と捉えている。いずれにせよ、今後の政府の動向を見守りたい。
<文/田中宏明>