“横浜のドン”と枝野代表が「横浜にカジノはいらない」と連携
菅義偉氏
150人規模の合流新党となった「立憲民主党」の枝野幸男代表が、「ミスター叩き上げ」こと菅義偉首相との対決姿勢を露わにしている。
国民民主党との合流新党の代表選前日の9月9日には、カジノ推進の旗振り役である菅首相(神奈川2区=横浜市西区・南区・江南区)の地元横浜に乗り込み、カジノ候補地の山下ふ頭を視察。“横浜のドン”と呼ばれ、「カジノなしの再開発計画」を提案している「横浜港ハーバーリゾート協会」の藤木幸夫会長らとも会談、カジノ誘致反対での連携を確認したのだ。
この藤木会長は菅首相の恩師。菅首相は、藤木会長の盟友の小此木彦三郎・元建設大臣の秘書を11年務めた後、横浜市議から国会議員となった。ところが菅首相は、お世話になった恩師が反対するカジノ誘致を推進している(筆者記事
「『叩き上げの苦労人』という虚像。新総裁に手をかけた菅義偉、利権のために恩師も裏切る素顔」参照)。
9月15日の合流新党党大会で挨拶した後、記者会見に臨んだ枝野幸男代表
枝野代表の現地視察と藤木会長との面談は、
菅首相の「叩き上げ」「苦労人」「庶民派」の虚像を打ち砕くものだ。そこで、翌10日の代表選後の会見で、藤木会長との面談について枝野代表に聞いてみた。
――代表選前日に、横浜のカジノ候補地を視察した理由・狙いと、その際に菅さんの恩人である藤木幸夫さんとお会いになって「カジノ反対で連携をする」という報道をみました。一部週刊誌(『週刊新潮』)では「菅さんと藤木さんが手打ちをした」という報道もありますが、面談の感触などを含めてお伺いしたい。
枝野代表:代表選は演説会も7分ですし、メデイアの対談に呼んでいただいても、最初のプレゼンは3分とかで。訴えたいこと、特に個別テーマで訴えたいことは、なかなかそういう機会では取り上げられません。
そういう中で実際に現地を見させていただいて、当事者の話をきちんと聞くことで、重要なテーマの方向性を示すことができるということで、横浜のカジノの予定とされているところに行かせていただいたのが経緯です。
藤木(幸夫)さんにわざわざお出ましをいただき、カジノ(反対)について短時間ですが熱い思いと、「しっかりと時間を取って話を聞いてくれ」と言われて「当然です。喜んで」と申し上げました。
藤木さんと菅さんとの関係については、別に話に出ておりません。そういった次元の話ではなくて、「あの場所にカジノを作ることは許されない。反対だ」ということで考え方が一致して、それについて連携させていただくことで一致しました。
合流新党の代表選前日に非公式ながら枝野代表と面談をした藤木幸夫会長
なお「『菅義偉』総理への道」と銘打った『週刊新潮』9月10日号には、8月24日に菅首相が藤木会長と会ったことを紹介していた。去年の同誌のインタビューで藤木会長が「(菅首相は)安倍の腰巾着」と言っていたことについては、同誌が31日に直撃をして
「いまでも腰巾着ですよ。腰巾着ってのは、すごい褒め言葉なんですよ。旅に出る時に持っていくんだよ。腰巾着が無くなったら旅は中止だよ」というコメントを引き出した。
「安倍首相の大事な存在」というわけだが、私が1月6日の港運協会の賀詞交歓会で藤木会長を直撃、
「(菅首相の)安倍首相の腰巾着ぶりに変わりはないですか」と聞くと、こう解説してくれた。
「『安倍首相はトランプ大統領の腰巾着』というのはほめ言葉なのです。(腰巾着の)巾着は、お金が入っているがま口でしょう。スポンサーのことを言います。悪い意味で解釈をしてはダメなのです」(
「カジノ誘致に反対する“横浜のドン”が安倍首相・菅官房長官に再び反旗」記事参照)
ここで藤木会長は「ほめ言葉」と言っているが、これは痛烈な皮肉と言っていい。
「日本のためではなく、米国のための“がま口”=スポンサー」だと言っているのだ。ここには、菅首相との長い関係から、表だってはっきりとは批判できない藤木会長の複雑な感情がうかがえる。