8月の自殺者が前年比で急増。コロナ禍の中だからこそ知っておきたい「自殺のサイン」

適切な治療や相談を進めるべき

 また、高橋医師の提示する自殺の直前のサインのなかから個人的に観測しやすいものをピックアップしてみた。 ・事故傾性(※上記の例の通り) ・孤独感、無価値感 ・注意が集中できず、成績が下がる(仕事、学業など) ・食欲減退 ・不眠 ・大切にしていたものを整理したり、誰かにあげる ・自殺について話す ・自傷行為を行う  上記の例が、自殺を行った人の周囲の人たちから上げられた自殺のサインだと考えられている。  これらが多く当てはまるから必ず自殺するというわけではないが、精神科ヘ行く、相談に乗ってあげるなど適切な対処が必要だ。

コロナの影響で目にしづらいサイン

 もし相談に乗ってあげるときには、相手の行動(自殺をしようとしたこと)や考えたことを否定してはいけない。  本人もやってはいけないとわかっていることが多いはずなので、行動や考えを否定することは、さらにその人を追い込むことになってしまい、相手の孤独感を増してしまう。  まずは、相手に「あなたのことを心配している」ということを伝え、死にたいと思っているかどうかを尋ね、その理由について傾聴し、病院での診察を進めることがよい。  コロナの影響で精神的に追い詰められている人が多くなっており、今後も増加する可能性は十分にある。  また、自粛によって、人と繋がる機会が減り、孤独感を感じたり、誰かに気づいてほしいとサインを出すことが難しくなってきている。だからこそ、身近な人が自殺のサインを発していないか気づき、支え合うことが必要である。 【参考資料】自殺のサインを読みとる』高橋祥友 『自殺予防の実際』高橋祥友 『わが国の自殺対策』赤沢正人 <取材・文/山本マサヤ>
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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