勧めるほど買う気が削がれる「ブーメラン効果」。ネットワークビジネスから見るダメな販売手法

 渋谷のカフェでゆっくりしていると、たまにビジネスの勧誘をしている声が聞こえてくる。サプリメントやスキンケア、洗剤から空気清浄機まで、さまざまな商品があることを紹介して、勧誘をしているのだ。そして、自分も誰かに勧めることで紹介料や購入金額の数%が入ってくるというメリットも説明している。

購買意欲を低下させる「ゴリ押し」

販売のイメージ画像

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 そう、すでに気がついた方もいるかもしれないが、これはネットワークビジネスの勧誘だ。  私も何度か勧誘を受けたことがあるのだが、相手は揃いも揃って「本当にいい商品なの!」「いい商品を紹介したいの!」「あなたにもきっと合うはずよ!」と商品をゴリ押ししてきたり、「権利収入がね〜」「働かずに自由な時間が〜」と、お金と時間の自由もアピールしてくる。  勧誘を受けたことがある人は、同じような言葉を必ず聞いたことがあるはずだ。  ネットワークビジネスがいいものか、悪いものかという議論はここでは置いておいて、このようなゴリ押しセールストークは、相手の「買いたくない!」という気持ちを増幅させてしまうことが心理学で証明されている。

ヤル気を削ぐ「ブーメラン効果」

 このようなセールストークはネットワークビジネスだけでなく、一般のセールストークでも行われてしまっている。今回は、この「買いたくない!」という気持ちを増幅させるセールストークについて解説していく。       先程の例のように、強引であったり一方的なセールストークを行うと、「ブーメラン効果」というものが起きてしまう。  ブーメラン効果とは、強引にある商品を勧めることで、勧められる側は選択を強制されて自由を失った感覚になり、自由を得るために逆に反発するようになってしまう心理作用のことだ。     例えば、子どもに勉強をさせたいときに家庭で飛び交う、「早く勉強しなさい」というフレーズ。もし、子どもが勉強しようとしていたのだとしたら、かえって反発してしまい勉強しなくなってしまう。  人は本来、自分のことは自分で選択したい強制されたくないという心理を持っている。そのため、他人から選択を強制されると、もともとやろうと思っていたことでも、それに反発してしまう。
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セールスを成功させるには相手に「逃げ道」を準備するべし
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