百貨店跡「3度目の再生」に揺れる地方都市――巨大商業ビル「リムふくやま」は「平成の商業史」の縮図だった

1度目の再生は「都市型ファッションビル」も……

 「一度目の閉店」となった福山そごう撤退後、福山市はすぐに新たな入居企業探しに奔走した一方、「旧そごうへの税金投入は行わない」としていた。  とはいえ、福山そごうは経営破綻直前でも約224億円(2000年2月期)もの売上がある地域有数の広域集客施設であった。福山市長は、そごうの破綻は福山市側にとって「落ち度が無いにも関わらず降って沸いた天災のような難題」であると述べ、結局は市が建物を約26億円で買い取ることを決めた。また土地所有者であり、そごうの誘致にも関わった山陽染工は、旧そごうの底地を福山市に寄贈した。  建物・土地が福山市の所有となったことで、新たにテナント出店する企業は広島県への不動産取得税、国への登録免許税、福山市への固定資産税などがいずれも不要となるため、後継店舗の誘致が進むものと思われた。一方で、旧そごうに約26億円もの税金を投じることは賛否を呼び、福山市内では賛成・反対双方の署名活動や陳情活動がおこった。  しかし、店舗面積が大きすぎたことに加えて福山駅近くの繊維ビルや伏見町(実現せず)で再開発計画があったこともあり、入居希望者は現れないまま2年近くが経過。唯一手を挙げたのは、近隣に店舗がある百貨店「天満屋」だった。そして、そごう閉店から約2年半の時を経て、2003年4月に「天満屋」が運営するファッションビルと百貨店の中間業態「福山ロッツ」が誕生した。
福山ロッツ

地場大手百貨店・天満屋が運営する都市型ファッションビル「福山ロッツ」。

 天満屋は岡山市に本社を置き、中国地方各地で百貨店・ファッションビル・都市型ショッピングセンター・スーパーマーケットと多彩な業態の店舗を運営している。そうしたノウハウを生かし、福山ロッツには中国地方初の「コムサストア」を核に、米国の大手アパレル「GAP」、イズミの高級ブランド店「エクセル」、地場大手書店「廣文堂」、雑貨・書店「ヴィレッジヴァンガード」、雑貨店「ロフト」(2007年出店)、雑貨店「Francfrancfranc」、子供服ミキハウスの旗艦店「MIKI HOUSE こどもぱぁく」、喫茶「カフェモロゾフ」、天満屋の食品売場、地場大手家具店「小田億」(のちに天満屋の家具売場)、「福山市立ふくやま書道美術館」、フードコート、レストラン街などが出店。首都圏で人気のブランドや中国地方初出店のテナントも少なくなく、当初は「百貨店系の都市型ファッションビル」として賑わいを見せた。
館内の吹き抜け

そごうの内装を引き継いだ館内の吹き抜け(1階から撮影)。
地階には天満屋の食品売場とイベントスペース、1階にはコムサストアが見える。

かつての店内

「百貨店系ファッションビル」らしい明るくオシャレな雰囲気だった。

ネックとなった「駅から徒歩6分」

 しかし、ロッツは百貨店の天満屋と比べて駅から少し距離があるうえ、2007年11月には福山駅に直結するJR西日本グループの商業施設「さんすて」がリニューアルし、若者向けのファッションテナントが充実することとなった。駅から徒歩6分の旧そごうは、ロッツとなってもその立地に悩まされ、さらにリーマンショック後のアパレル不況もあって天満屋は10年間の営業を以て以降の契約の更新をおこなわないことを表明。福山ロッツは2013年4月に閉店し、再び一部の人気テナントが天満屋へと移転することとなった。
現在ロフトは天満屋福山店へと移転、盛業中

「ロフト」など地域初の人気テナントも数多くあった。
現在ロフトは天満屋福山店へと移転、盛業中。

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2度目の再生は「郊外型テナント」で
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