スヴァールバル諸島
photo by Per Løvstad via Pixabay
7月、プログラマーにとって、クールなニュースが伝わってきた。
イケてるという意味のクールの意味が5割、涼しいという意味が5割のニュースである。世界中の多くのプログラマーが利用しているソフトウェア開発のプラットフォーム
GitHub が、同サイト上で公開されているプログラムなどのデータを、
北極圏のスヴァールバル諸島(ノルウェー)に保管したというニュースである(参照:
The GitHub Blog)。
同社のブログを見ると、保存は
piqlFilm(デジタル感光性アーカイブフィルム) というフィルムメディアに保存したようだ。データは21TB。フィルムのリールの数は186。思ったより少ない、現実的な物理サイズだなと感じた。
スヴァールバル諸島は、炭鉱産業で栄えた土地で、廃鉱が保管場所に利用されている。フィルムは地下数百メートルの永久凍土の奥にある部屋に納められ、1000年以上にわたり、世界のオープンソースコードを保存するそうだ。
こうした「ある時点でのデータの保存」は、継続的に複数の方法でおこなうという。今回のフィルムメディアによる北極圏への保存以外にも、世界中のウェブ情報を保存している
Internet Archive や、ソースコードを保管する
Software Heritage での保存もおこなっている。
面白いところでは、Microsoft が開発した
Project Silica での保管もおこなっている。Project Silica は、75mm四方、厚さ2mmの石英ガラスに、75.6GBのデータを保存できる技術だ。データをボクセルで保存し、2mmの厚さの中に100層以上のボクセルを積層できるそうだ(参照:
PC Watch、
ギズモード・ジャパン)。ちなみにボクセルは、ピクセル(pixel、画素)の3次元版だ。「volume」+「pixel」で「voxel」となっている。Project Silica で石英ガラスに保管したデータは1000年持つという。
このように複数の方法でデータを残すのは理に適っている。全て同じ方法で記録していれば、同じ理由で消滅する可能性がある。たとえばHDDという磁気媒体だけを利用していれば、強力な磁気的打撃を地球全体が受けた場合に、全てのデータが失われる危険がある。場所についても、一箇所に保管していれば、自然災害や戦争などで失われる恐れがある。こうした GitHub の試みは有効だろう。