井戸氏は「コロナ禍以前から投資をしていた人は、これまでと変わらないやり方を貫くのが正解」という。
「投資信託を購入するにあたって、コロナ前と変えてもいい部分は、
資産の配分です。これからダウ平均株価が上がることを考えて、債券よりも株式の割合が厚めの商品を選ぶといったリバランスはしてもいいでしょう。『グローバルバランスファンド』など全世界に分散しているものを選ぶのも長期で運用するのに適しています」
コロナの打撃を受けてもいずれ回復するだろう投資信託だが、現状だと利益が出づらく、それどころか赤字になりかねない種類も存在する。
そこで井戸氏は、買うべきではない商品について、次のように指摘する。
「注意すべき投資信託商品は4種類あります。1つ目は、短期間に株価が大きく上昇する『
テーマ株投信』。これは高値掴みになりがちです。2つ目が、『
アクティブファンド』。リターンが大きくなる可能性がある分、信託報酬も高く、運用難の今は利益が出づらいというデメリットがあります」
そして3つ目が
レバレッジがかかった投資信託。
「レバレッジとは『てこの原理』のことで、小さな利益で大きな儲けが出るような仕組みのこと。買った値の3倍の利益が出るような仕組みですね。レバレッジがかかるとハイリターンですがハイリスクです。レバレッジがかかった投資信託は、コロナの状況にかかわらず、ギャンブルと似ているのであまりおすすめしません」
そして4つ目は、『
毎月分配型』だ。井戸氏はこれを、最も警戒すべきであると強調する。
「毎月分配型は、収益が出ていない場合、中には元金を取り崩して分配をして資産自体が減っていくものも。収益が出づらいコロナ禍の今では、毎月分配型は特に避けたいファンドといえます」
乱高下の激しいコロナ相場では一発逆転の勝負に出ると、大怪我をしかねない。手堅くて無難な投資が最適解だろう。
コロナ禍で特に買ってはいけない投資信託のタイプ
●毎月分配型 分配金は元金を取り崩したもので諸刃の剣
●テーマ株 値動きは派手だが高値掴みの危険も
●アクティブファンド 信託報酬が高く、今は利益が出づらい
●レバレッジ型 倍額儲かるが、失敗すると当然、倍額を損する
【井戸美枝氏】
ファイナンシャルプランナー、経済エッセイスト。資産運用、ライフプラン、年金などの公的保障といったお金にまつわる情報を多くのメディアで発信している
<取材・文/別冊SPA!編集部>