「都知事が口紅をつけ忘れたこと」について質問する記者
フリップを掲げる小池知事。「掲げるだけでほとんど何もしていない」との批判が噴出している
小池知事が会見で、事前に都職員に作らせた記者の座席表を見て、自分に都合のよい質問をしてくれる“お気に入り記者”を指名しているということは、少しずつ知られるようになってきた(ダイヤモンドオンライン記事
「小池都知事が圧勝の裏で露骨にメディア選別、批判的な記者は“排除”」参照)。
とにかく“お気に入り記者”たちの質問は、本当にどうでもいい内容のものが多い。6月5日の定例会見では、1週間前の都知事会見で小池知事が急に「
口紅をつけ忘れた」と言い出したことに絡めて、こう質問した記者がいた。
「5月の消費支出が過去最大の落ち込みとなりまして、その中で口紅の支出が4割ほど減ったということで、知事も会見で口紅をつけてき忘れたりしたこともあったと思うのですが、この受け止めはどうでしょうか」
筆者には「口紅をつけ忘れるほどコロナ対策に没頭している」といった好印象を演出しようとする“ヨイショ質問”にしか聞こえなかった。小池知事はこう答えた。
「今日は口紅もしてきました。(テレワークで)お化粧をしなくても、お化粧をしているように勝手に直してくれるアプリもあります(中略)。『新しい日常』を作ってほしいと思います」
都民が都知事に聞きたいことを代表して、会見で記者たちが聞いてくれているというのは幻想だ。ユルい質問をする都庁記者クラブの記者たちばかりが指名され、厳しい質問をする雑誌記者や筆者のようなフリー記者は“排除”されている(このことについては、筆者の新著
『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)で詳述)。
都知事会見は、“お気に入り記者”たちの“ゴマすり合戦”の場に
2017年6月22日に築地市場を訪れた小池知事の囲み取材では、こんな場違いな質問をした記者がいた。
「週刊オリコンランキングの写真集部門で、小池知事の写真集が1位になったのですけれども、そのご感想をちょっと」
小池知事はこう答えた。
「築地でそのご質問を受けることが大変まず驚きですが、ありがたいと言うか、基本的に驚きです」
このように都知事会見は、“お気に入り記者”たちによる“ゴマすり合戦”の様相を呈している。都知事に都合のよい質問をした記者は、次もまた指名してもらえるというわけだ。
またある記者は2020年4月17日、小池知事の体調を気遣う質問をした。
「コロナ問題が始まって以降、各地自体の知事、吉村さんも小池知事も毎日発信をして、吉村さんなんかは(睡眠不足を心配して)『吉村寝ろ』みたいなことがネットで言われたりしています。小池さん、この会見を見ている方で『体調は大丈夫なのか』というような声が今、出ているようなのですが、知事ご自身の体調管理はしっかりなさっているのかを聞かせてください」
小池知事は「待っていました」とばかりに次のように答えた。
「体調は大丈夫です。“撃ちてし止まん”型ですから。とにかく『都民の命を守る』というのが今、私の最大のミッションだと思いながら。それがエネルギーになって、みなさんとともにこのコロナに打ち勝っていきたいと考えております」