109ナンバーワンブランド「セシルマクビー」が全店閉店に――背景には「ギャルのブランド離れ」も?
人気アパレルブランド「セシルマクビー(CECIL McBEE)」が2021年2月までに全店を閉店することを発表した。一時代を築いた「カリスマ的ギャル系ブランド」だけにその知名度は非常に高いものであったが、一体なぜ「全店閉店」を決断するに至ってしまったのであろうか。
セシルマクビー(CECIL McBEE)は「ジャパンイマジネーション」(本社:東京都渋谷区、旧称「デリカ」)が展開する女性ファッションブランドだ。「109系」、そのなかでも「ギャル系」「赤文字系」ファッションの代表的ブランドとして広く知られており、1990年代末には歌手の浜崎あゆみが愛用していたことなどでも注目され、とくに20歳前後の女性から絶大な支持を集めた。当時のファッション誌を見ると「SHIBUYA109で売上ナンバーワンのブランド」として紹介されており、同店の「カリスマ店員」がメディアに登場することも多かった。「有名ブランドだから彼女へのプレゼントを買いに行ってみたものの雰囲気と店員に圧倒されてしまった…」という経験がある男性もいるかも知れない。
ジャパンイマジネーションによると、2020年中を目処に国内の「セシルマクビー」全43店舗を閉鎖するほか、同社が展開するセシルマクビーのお姉さんブランド「BE RADIANCE」をはじめとした他ブランド(Fabulous Angela、rid.dle from…、a.g.plus、Ank Rouge、sophila)についても店舗整理をおこない、全体の閉店数は90店ほどにもなる予定だという。
それでは、なぜこれほどの有名ブランドが「全店閉店」に至ってしまうのか。
もちろん、新型コロナウイルスの感染拡大によって旗艦店を中心に多くの店舗が長期間営業できない状態となったことが大きいのは言うまでもない。セシルマクビーの店舗は、近年はイオンモールなどへ出店する事例もあったものの、現在も多くの店舗が大都市中心部のファッションビルにあり、とくに「109系を代表するブランド」として知名度があったため、ルミネやパルコでは「目玉ブランド」として「セシルらしい立地」――つまり店舗の一等地に出店する例が多く見られた。
そうした「セシルらしい立地」を求められたがゆえに家賃負担も大きなものであったと思われ、さらに郊外店よりも都心店のほうが新型コロナウイルスの感染拡大によって営業ができない期間が長くなっていたことも、経営に大きな影響を与えることとなったのであろう。
さらに、それ以上にブランドに対して大きな影響を与えていたのが「ギャルの変化」ではないだろうか。
セシルマクビーが永年メインターゲットとしていた「20歳前後のギャル」は今回の「全店閉店」を悲しんでいることだろう……と、現在高専に通っているという「現役ギャル」に取材したところ、少し意外な答えが返ってきた。
「セシルマクビーは少し高いし、何より大きな街に行かないと店がないからZARAとかGUとか近くの店(ファストファッション)でそれっぽいものを買ってコーデしてる」「どうしても欲しいものがあればそれだけ通販で買う」というのだ。
多くの女性がファッション誌のモデルに憧れ、「セシルを着こなせなきゃギャルじゃない!」とさえ言われた時代は過去のこと。「全身セシルでコーデしたい!」という熱狂的なファンや、109やパルコなどが通勤・通学の経路にあり「頻繁に行ける」という人はともかくとして、郊外に住んでいるならば「わざわざ大都市の中心まで買い物に行く」よりも「モールなど手近な場所にある店で実際に試着して自分に合った服を選ぶ」ほうが安心できるであろうし、「モールで幅を利かせるファストファッションの台頭」と、そうしたなかで起きた「ギャルであってもブランドにこだわらない層の増加」こそが「カリスマ的ギャル系ブランド」の存在感を徐々に押し下げていくことにも繋がったといえよう。
「109で売上ナンバーワン」――ギャル系ブランドの代表格だった
今は「ブランドにはこだわらない」というギャルも
1
2
※都商研ニュースでは、今回の記事のほかにも下記のような記事を掲載中
・西日本シティ銀行本店、再開発で建替えへ-JR博多駅前の顔、2020年6月から解体
・ヤマダ電機、大塚家具を子会社化-2019年12月30日付の第三者割当増資で株式の過半数を取得
・イトーヨーカドー・イズミ・ライフ・東急ストアなど「PAYPAY」導入-2019年9月の 「スーパーマーケット大還元祭」に合わせて
・東宝ツインタワービル、2019年12月閉館-日比谷のランドマーク、建て替えへ
・ヤマダ電機、大塚家具を子会社化-2019年12月30日付の第三者割当増資で株式の過半数を取得
ハッシュタグ