事業終了を告知するキャッシュレス・ポイント還元事業サイト
とうとう本当に“リアルに消費税が10%に引き上げられた”。
何をいまさら言ってるんだ、と思うかもしれないがこういうことだ。令和元年10月に始まった消費税10%増税に伴って導入された軽減措置、キャッシュレス決済をした人への税の還元政策が6月末に終了したのである(通常の軽減税率は引き続きある)。例えば、大手コンビニでクレジットカードやQRコード決済をした人に消費税の一部を返すといった制度だ。大手コンビニでは2%の還元率で、それまで8%の税金を払っていた弁当は、税率はそのままで2%の還元があったので、私たちの消費税の負担は去年の10月から8%が6%になっていた。消費税は減税されていたのだ。そう言う抜け道が無くなってしまった。そして、消費税は7月1日から名実ともに10%に増税されたのだ。
新型コロナウィルスが私たちの健康と日常、そして世界経済を襲う前に、日本経済はこの「消費税増税」で瀕死の状態になっていた。増税しても納税者に向けての公共サービスが目に見えて良くなるわけではない。それは、今まで積み上げてきた総額1000兆円以上の日本のツケを払わなくてはならないし、増税は、少なくともこれ以上の借金を増やさない様にする(プライマリーバランスを実現するための)ための第1歩でもあったからだ。いま日本の国家予算は借金で成立している。もはやその金額は考えたくもないほどに膨れている。
1000兆円を超える国の借金(債務)に押しつぶされそうな私たちの生活。景気の失速とともに閉塞感が強まる日本。そんな鬱屈とした空気の中で、野党の一部から消費税の減税やそもそも消費税をなくしてしまえという過激な政策が上がり、一部で熱狂的な支持を集めている。私もこのコロナ禍による経済のダメージから回復するために消費税の減税をすることには条件付きで賛成だ。この連載でも何回も述べてきた。しかし、消費税減税を実現するために現代貨幣理論・MMTを根拠とすることには危惧している。前回に引き続き、MMT論者の言うところの経済学の「科学革命」・MMTについて考えてみたいと思う。
MMT(現代貨幣理論=Modern Money Theory)とは、これまで常に問題視された財政赤字や国や地方の債務の問題について考慮する必要がほとんどないというものだ。どんどんカネを使っていいと言う。なぜなら、国債の元本も利子も、貨幣を刷ることによって、いくらでも、確実に返済できるからだという。まるで魔法のような論法だ。ただし、この魔法は政府が自国通貨建てで支出している限りは政府支出を制約しない、インフレ率が一定のレベルになるまでは、という条件はつく。つまり、これが安全装置だというわけだ。上手くいかなくなったら中止すればいいというわけだ。
カネはもっと使っていい。ただし、インフレが過熱したら財政を抑え増税もして金融政策で引き締めをするように経済を減速させればいい。これに反緊縮派やリベラル派の一部が飛びついた。これは、国はいくらでも金を刷ることができるのだから、そもそも税金なんて取る必要なんかないのではないか?と言う考えに飛躍する。消費税などゼロで大丈夫だというわけだ。本当だろうか?