一方、豪雨災害とは別に気になるのが地震の兆候だ。4月から5月にかけて東北沖や関東などでは最大震度4の地震が多発。6月25日には千葉県東方沖を震源とする最大震度5弱の地震が、7月9日には茨城県で震度4の地震が起きているからだ。『日本の地下で何が起きているのか』(岩波書店)の著者である京都大学教授の鎌田浩毅氏が話す。
「東日本大震災が不安定な地盤を造ったことで日本列島にストレスがかかり、30年くらいは地震が起きやすくなっています。浅間山が噴火しそうだというのも同じ理由です。111個ある日本の活火山のうち、20個が不安定になっていて、いつ噴火してもおかしくありません。富士山もそのひとつです」
日本列島を構成するプレート。これらプレートの動きが地震を引き起こし噴火を呼ぶ(プレート図作成/鎌田氏)
そこで気になるのは今後30年以内に70~80%の確率で起きるという南海トラフ巨大地震のXデー。
「太平洋プレートの沈み込みがもたらす東日本大震災と同様の地震は1000年に1回の周期で起きています。一方、フィリピン海プレートの沈み込みがもたらす南海トラフ巨大地震は100年に1回の周期。次は2035年の前後5年以内に起こると予測されます」(鎌田氏)
’86年伊豆大島噴火(撮影/鎌田氏)
地震は「この夏に起きる」という予知はできないが年単位レベルでの予測は可能だという。
「西暦869年に貞観(じょうがん)地震という東日本大震災とよく似た地震があり、9年後には関東南部直下型地震が発生。さらに9年後には仁和地震と呼ばれる南海トラフ巨大地震が起きています。今に当てはめると’11年の9年後の今年’20年に関東南部、すなわち首都直下型地震が起きて、さらに9年後の’29年に南海トラフ巨大地震が起きるということです。もちろん起きないことを願いますが、もしもに備えて準備しているのとしていないのでは被害の程度が大きく変わります。だから予測するのです」(同)
阪神・淡路大震災の被災写真(撮影/鎌田氏)
新型コロナの感染リスクが高まる避難所では三密を避けた上に熱中症対策も取らなければならないという状況だが、災害によっては何が何でも避難する必要はないという。
「豪雨の中、無理して避難所へ向かって亡くなった方もいます。自宅に災害の危険がなければ動かないほうが安全ですし、親戚や知人宅に行ったほうが安心安全な場合もあるでしょう。そういう分散避難が必要です」(秦氏)
コロナ禍で三密を避けるとなると避難所はすぐにパンクしてしまう。今夏、もし災害が起きた場合は分散避難を心がけよう。