新型コロナ対策としての、パチンコ店の「行列対策」が画期的な理由

登録時には顔認証も導入し不正を防ぐ

 このオンライン抽選ではまた、初期登録時にユーザーの顔写真の登録も義務付けている。替え玉抽選や抽選番号の売買を防ぐ事が目的だ。  結果的にアイランド秋葉原店では、開店10分前の午前9時50分に400名を速やかに並ばせ入場させ、抽選番号401番以降の人たちは開店時間が過ぎた10時10分に集合させることにより、入場時の過密状態を回避している。  7月7日にオンライン抽選を実施したのはアイランド秋葉原店だけではない。都市部の人気大型店舗のうち少なくないパチンコ店では当日オンライン抽選を実施した。  しかし一部の店舗では、アクセスの集中によりサイトのサーバーがダウンしてしまい逆に混乱をきたしたところもあった。マルハン新宿東宝ビル店では、サーバーダウンにより当初の抽選番号通りの入場実施を行えず改めて店舗前での再抽選を行った。

パチンコ店のオンライン抽選は他業界にも画期的な提案となる

 もちろん店舗側ではそのような事態を想定し、事前に「サーバーダウン等のトラブルの際の対応」も事前に告知していたのだが、一部SNSやまとめサイトではこの際に客による暴動が起こったであるとか、けが人が出て救急隊員が駆け付けたであるとかのデマが流れた。  その点については店舗の公式アカウントが否定をしているが、まあ抽選で若い番号を引いた客からすれば迷惑千万な話であったろうが。  パチンコ店におけるコロナウイルス感染症対策として、開店前に行列を作らないオンライン抽選は、政府が目指す「新しい生活様式」に沿うものではあるのだろうが、同日同時間帯に多くのユーザーからのアクセスが集中することによるトラブルもあり、まだまだ改善点の余地はある。  ユニクロのエアリズムマスク販売時の報道がそうであったように、現状のコロナ禍において、「客の行列」というのはニュース報道にも取り上げられやすく、企業や業界のイメージダウンに直結しやすい。  パチンコ店が積極的に取り入れようとしている専用のオンライン抽選システムは、顔認証から位置情報までをも網羅しておりシステムとしての完成度も高く、他業種他業界への汎用性にも優れている。  サービス業を始めとした客商売を主とする人たちは、パチンコに興味がなくとも、このオンライン抽選システムを一度体験してみるのも一興かも知れない。 <取材・文/安達夕>
Twitter:@yuu_adachi
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