「有事の金」は本当か? コロナ禍の中、40年ぶりの史上最高値更新の「金」の投資戦略とは

コロナ禍の収束が長期化するほどに、金は上昇し続ける

金 亀井氏はリーマンショックとの違いをこう指摘し、金が上昇する要因をさらに付け加えた。 「金の採掘量は、全世界で年3400tほどなので、1g=6000円として約20兆円。つまり、金はどれだけ掘っても、年間20兆円ほどの規模にしかならない。ところが、米国はたった3か月で300兆円のマネーを供給すると決めており、かつてない規模とスピードで貨幣価値を薄めている。今後、金の史上最高値の更新は時間の問題で、2000ドルの大台を窺うでしょうね」  そして、池水氏はリーマンショックとの最大の違いをこう話した。 「リーマンショック時も今回も、金は同じような動きを見せているが、リーマンショックは世界的な金融システム不安だったので、マネーを供給すれば事態を収拾できた。だが、コロナショックの原因はウイルスなので、金融政策や財政出動では収束することはできない……。それでも、恐慌を招かないために、各国中央銀行はマネーの供給を止めることはできず、収束まで長期化するほど市中の過剰流動性は増えていく。金が3000ドルに達しても、何ら不思議ではない」  金は青天井で駆け上がっていきそうなほど、好条件が揃っているのは間違いないだろう。

金が「上昇するしかない」理由

・FRBが無制限にマネーを供給するなど、各国中銀の財政出動による過剰流動性 ・各国が金融緩和に走り、世界中で金利はマイナスかゼロに ・欧米機関投資家が金ETFの大量買いに加え、欧州個人投資家の金買い ・金融システム不安のリーマンショックと違い、コロナ禍による経済悪化は収束が見えない 【池水雄一 氏】一般社団法人貴金属マーケット協会理事 住友商事、クレディ・スイス銀行、三井物産を経て、スタンダードバンク東京支店長に就任。’19年、日本貴金属マーケット協会を設立、代表理事。一貫して貴金属ディーリングに従事し、金に精通 【亀井幸一郎氏】マーケットストラテジー・インスティチュート代表 山一証券などを経て、’92年、世界的な金の広報・調査機関ワールド ゴールド カウンシル入社。企画調査部長として経済調査、金市場のマーケット分析に従事。多くのメディアで幅広く活躍する 【吉田 哲氏】楽天証券経済研究所コモディティーアナリスト 大学卒業後、コモディティ業界に入り、’07年よりコモディティアナリストとして、商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。’15年より現職。わかりやすい語り口と鋭い分析に定評。コラムも人気 <取材・文/斎藤武宏 チャート製作/圓谷清和>
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