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「
で? 改善の見込みはあるの?」
発達障害をカミングアウトして最初に上司から告げられた一言だった。
「注意欠陥ナントカはうちの職種には向かないよ」
私は大学を卒業してから、最初の就職先を2年弱で実質的にクビになり、次の就職先でも1年ももたずに他社に出向することとなった。理由ははっきりしている。信じられないほどに、ミスが多いということだった。
そうした中で、私は社会人2年目で
ADHD(注意欠陥多動性障害)と社会コミュニケーション障害(※1)の診断を受け、いまでは職場の一部の人に限定してADHDをオープンにして働いている。読者のなかには、職場で発達障害を持つ人を「活用」するのに難しさを感じている方もいるだろう。この記事では、ADHDを職場でカミングアウトした個人的な経験から、発達障害を持つ人たちに職場でどのように接するべきか考えていきたい。
(※1)ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)と似たコミュニケーションの障害だが、ASDのような興味の偏りや反復的行動は伴わない
ひとくちに発達障害といっても、大きく分けて、
ASD、
ADHD、
LD(学習障害)の3種類がある。ASDはコミュニケーション、ADHDは注意や落ち着き、LDは読む・書く・計算することに困難を感じる、というように、全く異なる困りごとを持っている。
さらに、たとえば同じADHDのなかでも不注意優勢型、多動・衝動優勢型、混合型と3種類あるように、同じ障害でもかなりの多様性がある。つまり、
同じ発達障害でも同じ一定の対応が求められるとは限らないのである。
この記事では、それでもなお、ともに働く人がどれかに当てはまりそうだと思った時に、どうすればいいか? どの場合でも最低限必要と思われる4つのステップを示したい。