ただし、決算書を1期だけ見て、投資先を判断するのは危ないという。
特に今期の決算書はコロナ禍の異常値が反映されるため気をつけたい。コロナ特需を受けただけの勝ち組が今後も伸びるとは限らないからだ。
「アフターコロナは短期的なリバンド狙いの投資ではなく、
感染第2波に備えつつ長期的な視点に立たなければなりません。投資先を選ぶキーワードは『
連続性』です。コロナ禍でも増収増益が途切れなかった会社は、これからも強さを発揮するでしょう。例えば
33期増収増益のニトリや工具通販のモノタロウ、埼玉に本社があるスーパーマーケットのヤオコーが挙げられます」
さらに
15期以上の増収増益であれば、リーマンショックや東日本大震災をくぐり抜けてきたため、アフターコロナの予測できない事態にも柔軟に対応できる可能性が高いと深野氏は太鼓判を押す。
「’20年3月期決算でヤオコーは31期連続の増収増益を達成し、一介の地方スーパーマーケットの時価総額が、大手百貨店の三越伊勢丹を逆転しました。これには市場関係者も驚いています。ほかにドラッグストアのツルハHD、関東を中心にスーパーマーケットを展開するベルク、売掛債権の保証サービスなどを提供するイー・ギャランティなど、増収増益が続く企業はまだまだあります」
下表のようにヤオコーは派手さはないが、一歩ずつ着実に業績を伸ばしている。決算書を「連続性」で読み解けば、アフターコロナでキラリと輝く意外な優良銘柄を発掘できるかもしれない。
着実に業績を伸ばしている地方スーパーマーケットのヤオコー。派手さがないので、見落としがちだが長期保有に適した銘柄だ
【大手町のランダムウォーカー氏】
Funda代表取締役。毎週日曜日21時よりTwitterで会計クイズを出題している。3月に発売した著書『
会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』(KADOKAWA)が会計本では異例の大ヒット
【深野康彦氏】
AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。3年間のクレジット会社勤務を経て独立系FP会社に入社。その後、独立し、現在は、ファイナンシャルリサーチ代表を務める
<取材・文/週刊SPA!編集部>