公選法違反常態化の菅原一秀を東京地検が不起訴処分、起訴猶予は妥当ではない

フリー記者を恐れる小心な代議士は、いつ一般有権者の前に立つのか

 菅原については昨年10月の経産相辞任後に1か月以上国会を欠席したにもかかわらず300万円超のボーナスが満額支給されたことも非難を呼んだ。その後も雲隠れの末、ようやく今年1月の通常国会召集日にやはり汗だくで会見を行ったのは国会の自民党控室、16日の会見も自民党本部、それぞれ国会記者や政治部記者しかいない場だ。  菅原には最も恐れる私や藤倉氏と言ったフリージャーナリストがいる場では会見を行う気概すらないのだ。 〈参照:菅原一秀前経産相、本人不在で秘書らが年始の駅頭挨拶。記者を見るや否や、自民党の幟をほったらかして一斉逃亡|HBOL〉  菅原はこれまで説明責任を果たすと言いながら、捜査に支障があってはならないとの口実で何も語ろうとしてこなかった。しかし、検察の捜査が不起訴となった現在、菅原が有権者・国民に対し説明責任を果たすことには何の支障もないはずだ。9か月以上、朝の駅頭を行っていないにもかかわらず「毎日駅にいる」のキャッチフレーズを掲げる菅原は、いつ一般有権者の前に立つのか。菅原の練馬事務所に照会すると、駅頭活動の再開時期は判らないという。  常態化した有権者買収によって国会議員の座を得たのであれば、当然行うべきは議員辞職のはずだ。そんな菅原が有権者にどう説明責任を果たすのか。秋にも噂される次期衆院選において有権者は判断するだろう。

検察による悪しき前例がまた一つ追加

 菅原を刑事告発した市民は、公選法違反を認定しておきながら不起訴としたのは不当として、検察審査会に審査申し立てを行うと表明している。  今回、菅原議員の起訴を見送った検察は「本人が違法行為を認めて謝罪すれば起訴されない」という悪しき前例を作ったことになる。起訴と不起訴の判断をどのように線引きするのか、検察にも説明責任が求められている。(文中一部敬称略) <取材・文/鈴木エイト(ジャーナリスト)>
すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教カルトと政治というテーマのほかにカルトの2世問題や反ワクチン問題を取材しイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)
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