コロナ禍中の生活をテーマにした作品を作っていた矢先に…
1月に彼らのリミックスをリリースして、そうこうしているうちに、Covid-19ウィルスが全世界的に猛威をふるいはじめました。
世界中が自粛状態になり、僕のスタジオにラッパーがレコーディングに来ることもなくなり、全てがリモートワークになりました。そんな状態なので、
どうせリモートだったら東京にいる人と作ることにこだわることもあるまい、と、
東京の僕のスタジオと、
デトロイトとワシントンDCのOkumura.、そして
青森県三沢市のラッパーのDevinという4つの都市を跨いだデータセッションでEPを制作することにしました。
青森県三沢在住のラッパー、アフリカンアメリカンと日本人のミックスであるDevin
ポジティブであること、お互いがお互いにとってエクセレントであること(from
ビルとテッドの地獄旅行)、身近な人を尊重し、日々の暮らしを大切にすることなどを歌った「
Love Save The Day EP」の制作中にミネアポリスの事件が起こりました。
ミネアポリスで起こった事件を発端にした一連のプロテスト活動の拡大や、それに伴う様々な事は日々の報道でご存じの事かと思います。
例にもれず、僕も、特にこのような内容の作品を作っている最中だったので、大きなショックを受けたし、考えさせられるものがありました。Okumura.は
今作っている作品こそが多人種が仲良くやってけることの証拠なんだから誇りを持て、と励ましてくれました。
先のウィルス禍中に、世界中でアジア人たちがばい菌扱いされたとき、彼らは自分たちの事のように心を痛めてくれました。僕には軽々しく「俺にも黒人の痛みがわかるぜ」なんて言えませんが、それでも何かできる事がないかと提案して、大急ぎでチャリティのための楽曲を制作することにしました。フィーチャリングのラッパーにはEPにも参加していて、
アフリカンアメリカンと日本人のミックスであるDevinに引き続き参加してもらうことにしました。楽曲は売上の還元率が高い
bandcampというサイトでリリースし、
売上はOkumura.の手で全額Black Lives Matter基金に寄付されることになりました。
ビートは、
マーヴィンゲイのWhats Going Onをモチーフにすることにしました。この曲は今回のような事が起こる度に思い出されてきた曲です。
”
Picket lines and picket signs
Don’t punish me with brutality
Talk to me, so you can see”
でも裏をかえすと、
この曲がリリースされた1971年から今に至るまで、原因が根本的には解決していないが故に、この曲のメッセージが古びていないとも言えます。ある意味で、私たちは
この曲を過去のものにする必要があると感じました。Devinの曲中でのラインを借りるなら「
変わるまでが終わり その先に始まり」という感じです。それが、Whats Going Onをモチーフにした理由でした。また、過激な黒人主義者たちである
HOTEPSによって、同じ黒人や、混血児が攻撃される事態が起こっていることなどは僕も彼らの歌詞ではじめて知りました。ラップが最新の報道の側面をもっているという事は、今をもってしても有効なのだと改めて思いました。