コロナ禍で世界的に株価が乱高下 (Photo by Clive Rose/Getty Images)
新型コロナウイルスの影響で、株価は激しく乱高下。目まぐるしい値動きに右往左往し、大きなマイナスをくらった個人投資家は少なくない。では、そんな“コロナ相場“で勝ちきった辣腕トレーダーたちはどのように立ち回ったのか?
新型コロナウイルスは、人体だけでなく経済にも多大な影響を及ぼした。感染者数が指数関数的に増加し、イタリアやスペインでは医療崩壊が起こった2月中旬~3月中旬の1か月で、日経平均は約30%もの下落を見せた。3月19日の1万6552円をもっていったん底をつけた格好だが、依然として先行きは不透明なまま。そんな“コロナショック”に晒されている日本経済について解説するのは、フィスコの株式アナリスト・馬渕磨理子氏だ。
「FRBは『ジャンク債まで買う』と公表し、日銀も年間12兆円を投じて株価を支えているので、いったんは危機を回避した状況ではあると思います。日経平均でいえば価格ではなくPBR(株価純資産倍率)の推移で見るとわかりやすくて、過去最低となったリーマンショック時の0.81倍に迫りながらも突き破ることなく回復。トレンド転換となりました。これは『さすがに割安だろう』と市場に判断されたということです。日経平均1万5000円前後が0.8倍にあたると言われており、ここを割らずに反発したことで安心感が出ました。とはいえ、金融関係者の間では『量的緩和で株価を支えている今の構造は気持ち悪い』という声が多く、二番底を警戒する人が多数派な印象です。ボラティリティが出たことや、インフレへの警戒から証券口座の新規開設数が急増しており、初心者がとても増えているようですが、資金管理を間違えると退場の憂き目に遭いかねません。緊急事態宣言がまた出ないとも限らないですし、ワクチンの開発も時期がハッキリしないため、目が離せない状況が続きそうです」
PBRとは、株価の割安度を測る手法。低ければ低いほど割安であり、PBR=1のときに資産と株価が均衡している状態となる。上記のように、日経平均が1を割り込むことは稀。コロナショックでも底値である0.81を割らずに上昇していった
だが、そんな暴落相場でも一部の勝ち組トレーダーたちはしっかりと資産を増やしていた。彼らはいったいなぜこの相場で資産を増やせたのだろうか?
「コロナ前から倒産する企業が増える兆しがあり、景気の動向に敏感なトレーダーは身構えてポジションを軽くしていた方が多かった。そのうえで割安だと判断した場面では買いに転じ、安く仕込んでいる印象です。普段から『この株はいくらになったら欲しい』と意識しているから、暴落時にも自信を持って買えたのだと思います」(馬渕氏)