タレントも政治発言「どんどんするべき」 大川総裁に聞く芸能と政治の関係

母親が米軍基地勤務 戦争は身近だった

――大川総裁は「政治」に興味を持つきっかけにお母様の存在があると聞きました。 大川:オレの母は英語とドイツ語が堪能で、米陸軍第8軍団隷下部隊などがあったキャンプ・ドレイク(埼玉県朝霞市や和光市一帯にあった駐屯地、通称「リトルペンタゴン」。戦後~70年代後半までアジア最大の司令部だった)に勤めていた。  朝鮮戦争やベトナム戦争のときはそこに戦場に向かう最前線の兵士がいた。当時学童保育もなかったからオレはそこで遊んで、米兵たちからアイスなんかもらってた。しかも、50センチ四方の巨大なアイスで、アメリカはスゴイなんて思ってた(笑)。 ――当時から「日本が平和なのはまやかし」とも思っていたそうで。 大川:ある日、キャンプ内にある教会で、俺がエルビス・プレスリーの「ラブミーテンダー」を歌うことになったんだ。そしたら突然、兵士たちが泣き出して。どうやらその曲が南北戦争で戦死した兵士を弔う葬送歌で、ベトナムで米軍兵士が戦死した時によく歌っていたと話していた。そういう様子を見ていると、戦争を身近に感じたね。  それにプエブロ号事件(1968年に米海軍の情報収集艦が北朝鮮に拿捕された事件)もあって、当時はソ連の軍事同盟もあって第三次世界大戦が本当に起こるかもしれないという緊張感があった。親に「田舎に住むことになってもいいか?」と言われていたから、学校で「日本は平和国家です」と教えられても、何言ってんだと思ってた。 ――話を戻して政治発言についてですが、芸能人のなかには「自分の発言が間違っていたらいけない」という方もいますが。 大川間違ったら訂正すればいい。ただ、政治発言をするなら、芸能人としてそれを超越するものを見せてほしいとオレは思う。思想的には相容れないミュージシャンでも楽曲は大好きとか、政治的に偏っている芸人でもつい笑っちゃうとか。アイドルやタレントは私生活も含めての魅力だから難しいのかもしれないけど、やっぱり芸人ならお客さんを楽しませることを忘れないでほしい

コロナ後の混沌から新しい文化が生まれる

――なるほど。芸能人の本分を忘れないことも重要だと。ちなみに大川興業としては、今回の新型コロナウイルスの影響はありますか? 大川:劇場の都合で公演がいくつか延期になったが、新型インフルエンザやSARS・MARSの取材経験もあって、早期に対策を打つことができたと思う。ダイヤモンドプリンセス号で集団感染があった2020年2月時点で、既に会場を換気し、透明のビニールシートで舞台と客席を仕切って、お客さんにはアルコール消毒とマスク着用を義務付けた「透明ビニールハウスライブ!」を行うように切り替えていた。そのあと、スーパーやコンビニのレジでもビニールで仕切るようになっていったね。 ――そこの判断はかなり早かったのですね。 大川:どうしたらお客さんの安全を確保しつつ、喜ばせられるかは常に考えている。これはお笑いに限らずだが、戦争や地震など大きな災害が起きた後、傷ついた人たちを元気づけられるのは文化・芸術の役割だと思う。  歴史を見ても、ヨーロッパの黒死病から新しい創造性や富が生まれ、そこからルネサンスの芸術や文化が開花している。だから、今回のコロナをきっかけに新しい文化が生まれるという開き直りも必要。今の日本は生活は豊かになったのに、多くの人が閉塞感を感じているだろう。そんな状況で求められているのは、既成概念を打ち破るアイデア。それはコロナ後の混沌から生まれるとオレは思う。
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