日本は超監視社会への途を歩むのか。成立したスーパーシティ法案の問題点と法成立後の課題。
コロナ対策と監視社会化
今後の課題はなにか
5月27日の本会議における反対討論で、立憲共同会派・国民民主党の森ゆうこ氏は「最先端技術を活用して快適な生活を送ることに誰も異論はないが、代わりに自由とプライバシーを差し出すことはできない」と反対討論を行った。
日本共産党の大門実紀史議員は反対討論で、個人情報をまるごと管理してサービスを提供する社会は、一方で監視社会という側面を持つために日本の未来社会のあり方を問う大きな問題だと指摘し、最先端技術に対して個人情報を保護する仕組みが確立されていないのに、個人データを管理する都市構想などは危険すぎる、プライバシー保護と両立する技術の活用こそ考えるべきだと指摘した。スペイン・バルセロナの街づくりは長い時間をかけて住民と話し合い、最先端技術の活用を交通などに限ったことで反発が起きていないなどと紹介し、住民合意の確保が担保されない法案に強く反対した。
法案には、参議院の審議経過に基づいて、制度の運用にあたっては、特定の者に利益を与え、国民の疑惑や不信を招くことがないよう公平性と透明性を求める、住民の意見を反映する具体的な手続きを整備すること、情報漏洩防止のためのセキュリティの向上などを求めることなどを内容とする付帯決議がつけられた。
これからの焦点は自治体に移る。法律は制定されたが、その欠陥は多くの国民に共有された。審議の終盤で、国民の関心が高まったので、各地でスーパーシティに応募するという動きが起きた際には市民が機敏に対応できる基盤は作れたのではないか。快適かもしれないが、監視され、自分の考えをもつことや、これを自由に発言することもできないような監視社会を作ってはならない。そのための活動を続けよう。
(本稿の作成に当たっては、PARCの内田聖子さんが世界6月号に書かれた「自治の極北 スーパーシティ構想と国家戦略特区」を参考にしました。ここに記して感謝の意を表します。)
<文/海渡雄一> ハッシュタグ
