そごう・西武のレストラン街、一部は「空き店舗だらけ」や「飲食以外」に
今回の事業再編により窮地に追い込まれたのが全国各地の
「そごう・西武」のレストラン街だ。
西洋フード・コンパスグループは先述したとおり、成立の経緯から大手百貨店「そごう・西武」のレストラン街に相当数の店舗を出店している。そのため、今回の事業再編による「百貨店内テナント店舗の全面撤退」に伴い、そごう・西武各店のレストラン街では大量の空き店舗が発生することとなった。
そのうち、
西武東戸塚店(オーロラシティ東戸塚)ではレストラン街8店舗のうち2店舗(CASA、いろどり家)が2019年8月に閉店したもの閉店に先駆けて後継店2店舗(ベーカリーレストランサンマルク、とろ麦)の新規出店が決定するなど影響の少ない店舗がある一方で、
西武所沢店ではレストラン街6店舗のうち西洋フード運営4店舗(CASA、○かつ亭、トラットリアパスクーア、皇雅)が閉店、そごう徳島店ではレストラン街5店舗のうち3店舗(ファミリーレストラン、○かつ亭、京まいこ)が閉店するなど
飲食店区画の半分以上が閉鎖状態となる店舗もあった。
「営業終了」の貼り紙が並ぶそごう徳島店のレストラン街。
そごう徳島店は2020年中の閉店を決めており、淋しい状態のまま閉店となりそうだ
所沢西武では2019年末までの改装に合わせて1区画を除いて後継テナントが決まったものの、飲食テナントとして再開した区画はごく一部のみで「レストラン街」としての魅力は失われることとなった。さらに、2020年中に閉店することが決まっている
そごう徳島店では
殆どの区画が空き店舗のままであるなど、とくに地方店舗では後継テナントが決まらずに淋しい状況となってしまっているところも少なくない。
大型店が新型コロナウイルス禍により苦境に陥るなか、こうした「空きテナントだらけ」の状況が続けば店舗の集客力が更に落ちてしまうことにもなりかねず、各百貨店にとっては頭が痛い問題となりそうだ。
「○かつ亭西武所沢店」の跡はバンケットルームに。
跡地が決まったとしても飲食店とならなかった例も少なくないようだ
かつての大手ファミレス「CASA」は残り4店のみに…
さて、今回の事業再編に巻き込まれて大規模閉店となったなかには、かつて大手ファミリーレストランチェーンだった「
CASA」の店舗も含まれる。
CASAは西武グループのファミリーレストランとして1970年代に創業し、1991年には九州地盤の大手スーパー「寿屋」(2002年廃業)運営のファミレス「グルッペ」を買収し地域子会社「西洋フードシステムズ九州」を設立、CASAの店舗とするなど最盛期には200店舗以上を展開。「小さい頃の思い出のファミレス」として記憶に残っている人も多いであろう。
しかし、ファミリーレストラン各社が出店攻勢をかけるなか「西武セゾングループの解体」という憂き目にあったCASAは2001年から2002年にかけて首都圏・関西店舗の大半をゼンショー傘下となったファミレス「ココス」に売却するなどして大幅に店舗網を縮小。2010年代に入ると、川中商事(現・アンドモワ)傘下の「CASA」と西洋フード・コンパスグループが運営する「CASA Grande」を合わせても20店舗を割り込む状態となっていた。
さらに、今回の事業再編による「商業施設内テナント店舗の全面撤退」により、西武百貨店などに出店していたCASA(CASA Grande)は全てが閉店となってしまった。
現在、営業を続けるCASAはアンドモワ運営の路面店や一部の西友内店舗など、首都圏に4店舗を残すのみとなる。
全国でたった4店となってしまったCASA。
(CASAつくばエポカル店、つくば市)
かつて日本有数のファミレスチェーンだったものの、もはや風前の灯となってしまった「CASA」。思い入れがある読者は、もし見かけることがあるならば立ち寄ってみてはどうだろうか。
残る4店舗のなかにはバブル期に出店したものもあり、少し懐かしい「あの頃のファミレス」を感じることができるかも知れない。
<取材・文・撮影/淡川雄太・若杉優貴(都市商業研究所)>
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『
都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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